「微妙だった」ちえりとチェリー コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
微妙だった
人形のバリエーションに乏しい表情を、しっかりと生かしたパペットアニメーションは素晴らしかった。
内容的には父親が亡くなり、母親が仕事で家計を維持せざるを得ないため、放っておかれた子どもの精神のままのちえりが、想像の世界で生きていた中で、精神的成長を遂げる話。
すごくいい話なんだけど、大人が観るとエンタメになりきれない宮崎駿作品というか、子どもが観るとファンタジーさが欠けた「不思議の国のアリス」っぽいというか。
「夫(父)の死」を数年経っても乗り越えられない現実と、ちえりの空想空間のリアリティラインが乖離しすぎてて。
また、子供には背伸びしすぎて理解できるのか怪しく思うし…
それでもうっすら涙ぐんでしまうのは、おそらく最後のあたりの、母親と親戚の会話が、大人の立場で「自分が死んだあと残された家族」を想像してしまい、染みたというところが大きいかな。
2015年制作2016年公開作で、共同脚本の中に2017年に亡くなった島田満さんの名前を見つけ、ある種死ぬことを覚悟した人からの、生きて残った人々へのメッセージなのかも、というむず痒さも感じ。
名作にも駄作にもカテゴリーできない「微妙」さが満載だけど、印象が強烈という、謎作品に。
それがまた作品全体の味にもなっていて。
評価しにくかった。
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