ヒトラーの忘れもののレビュー・感想・評価
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国境へ走る姿に、振り返る姿に唯一救われた
理不尽、ただただ、理不尽で悲しい。感動する映画でもなく、いやされる映画でもなく、ただただ、どこまでもきれいな映像と音楽のすべてに、気がつけば戦争の理不尽さが埋まっている。戦争のつけを敵国の捕虜で払わせる残虐さ、そこまでさせる憎しみ。どこまでも青い空と白い浜辺、映像と感情とのコントラストにも表れているのかもしれない。かわいそうでかわいそうで、ラストに、解放された犬のように振り返りながら、おびえながら懸命に走る姿に、ほんの少しでもほっとして、よかったと思える自分ありました。登場人物が幼いから、残虐さが際だって、映像美と相まって、一番感動する映画で一番むなしい映画でした。もう二度と見たくないけれど、DVDを買ってしまうでしょう。もう一度みる気持ちにはなれないかもしれないけれど・・・深い感動がありました。「よかった」とは思えない、みなきゃよかったと思う気持ちが強いのに、心が揺さぶられて涙する映画でした。
ただツライ... ドイツを憎むのもわかるが... そこまでしなくて...
ただツライ...
ドイツを憎むのもわかるが...
そこまでしなくても...
とも思う...
家畜の餌を盗んで
食中毒になった少年兵達の事を
隣小屋に住んでる母親が
笑って「いい気味だ」と
言ってたのには
なんとも
嫌な気持ちになってしまった...
私も親族を殺された
当事者ならば
同じように
地雷の撤去や
食事を与えないとか
平気なのだろうか...
苦しむ姿を見ても笑うのだろうか?
いろいろ考えさせられるが
所詮第三者なんだよなぁ...
哀しい砂浜
ドイツ降伏によりその占領下から5年ぶりに解放されたデンマーク。その海岸沿いに仕掛けられたナチスの地雷撤去のため、駆り出されるドイツ人少年兵達。
少年達は、母親を恋しがったり、兄なしでは眠れないと言ったり、母国の復興を夢見たりと、あどけなさが残ります。
ドイツ兵を憎むデンマーク人達の心情を責めることは出来ないけれど、そのはけ口が、所詮人員不足で駆り出されただけであろう、素人同然の少年達に向けられるべきなのか。
少年達は自国の未来を築く重要な財産。しかし敗戦した大人達の後始末のために、彼らの多くが、身代わりで罰を受けるように犠牲になったことを知りました。皮肉にも自国の地雷で一瞬にして吹き飛ぶ彼らの生命と希望と夢。
少年兵達を監督する軍曹からは、ドイツへの憎しみを抱きつつも、少年達の士気を維持して地雷撤去を進めなければならないというジレンマがよく伝わってきました。鬼軍曹の側面はあるものの、結局少年達を道具としてではなく、人としてみてくれたことが救いです。
淡々と進む中で、いつ地雷を踏むかという緊張感があります。双子の兄を失って、狼狽し放心状態になる弟の姿に涙しました。
鑑賞後の帰り道…
ずっと足がすくんでいた。高所に居るわけでもなく地に足が着いているというのに…。アスファルトの下に地雷が埋まっているのではないかと、一歩を踏み出すのが怖くなってしまっていて。
第二次世界大戦直後、デンマークの海岸沿いにナチス・ドイツが埋めた2万個以上の地雷撤去を強制された敗残ドイツ軍の少年兵たちと、彼らを指揮するデンマーク人軍曹とを、史実に基づき描いたこの映画。
ここまで苦しくて眼を背けたくなる映画は初めてかもしれない。いつ地雷が爆発してしまうのか…という緊迫感が延々と続く、どんなホラー映画よりも恐ろしくてトラウマ級だった。。
デンマークの海岸は純白の砂が天国のように美しくて…しかしそこで行われている地雷撤去作業はまさに地獄のように残酷であり…こんなことが現実に行われていただなんて信じ難かった。戦場の兵隊や戦時中の一般市民、または戦後立ち上がって復興していく人々を描いた映画は多いけど、終戦直後の最も悲惨な状況を描いたこの映画は、最大級の反戦メッセージだと思う。
戦争の後始末の道具としか見ていなかった憎しみの対象であった少年兵が、1人また1人と失われていき、いつしか祖国に帰してあげたいと思うようになる軍曹。だけども、やり場の無い”戦争”への怒りを結局は目の前の少年達に向けるしか出来ない苦悩も抱え…。軍曹役の彼の表情が移ろう演技は凄かった。
最後、僅かに残った少年達が解放された時、観ているこちらもやっと少しだけ緊張から解放された感じがして、自然と涙が溢れた。
2017年の始まりに、凄い映画と出会ってしまったかもしれない。
地雷の恐怖と人間性の値踏み
デンマークの海岸にナチスが残した大量の地雷を、捕虜になった素人同然の少年兵が撤去させられることになるが、あまりに残酷な仕打ちに監督していたデンマークの鬼軍曹が次第に動揺して…というあんまりな内容だが、しかも実際にこのような史実があったというから余計やるせない。ドイツ兵に激しい罵声と暴力を浴びせ、少年兵にも最初は情け容赦のなかった軍曹が、餓えと地雷の恐怖に苦しみ泣き叫びながら腕をもがれる少年たちを見ているうちに、無表情で遠い目をするようになっていったのが印象的。ただ単に憐みの感情を覚え、チープな優しさを取り戻したのではなく、スイッチさえ入ればまた元の苛烈な仕打ちを浴びせるようになる辺りの心情は複雑だが、許せないという気持ちと遂行すべき軍の任務、それにこんなことをして許されるのかという迷いの間で、自分はどう少年兵に接してどこまで命令するのか、答えのない逡巡がひしと伝わるようだった。軍曹の迷いとともにもう一つ印象的だったのが地雷で、文字通り一色触発の危険物に延々と塗れ、しかもシビアにその威力を描写する映画なので、終始目が半開きでないと見ていられない。衛が終わった後、絶対にありえないのだが歩道の下に埋まっているのではと怯えて歩く足に力が入らないほど鬼気迫るものがあった。だからこそ、人間性のかけらもなさそうな軍曹の動揺に強烈なリアリティと共感があったのだと思う。
道具扱い
まともに食事も与えず、ドイツ兵とはいえ子供を替えのきく道具の様に扱い、地雷処理をさせる戦勝国。
これこそ戦犯じゃないのかと考えさせられる。
実際にはここまでの許しを与えて貰えることは皆無に等しく、弛いのだろうけれど、それまでのストーリーをみてきた後にはそのぐらいあっても良いのではないかと感じるラストだった。
それにしても商業主義の邦題には呆れるばかり。
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