「不便であっても愛着ある我が家」ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
不便であっても愛着ある我が家
アレックスとルースは結婚40年以上。結婚当初から5階立てアパートの最上階に住み続けている。
日当たりも良く、NYの眺めも一望。申し分ないマイホームだが…、
歳で5階までの階段がきつくなってきた。まだヒィヒィ言いながらも上れるが、今後足腰が弱ったら…。
苦渋の決断。住み慣れた我が家を手離そうとする。
不動産屋の姪に相談し、内覧会を開くのだが…。
老後の暮らし問題。
住み慣れた我が家を手離したくないが、そうも言ってられない。
階段で5階までってかなりきつい。私も仕事柄、建物のエレベーターや階段を使うのだが、エレベーター無しのしんどさはよく分かる。
ましてや老夫婦の歳。もし踏み外したり、疲れて途中で倒れたりでもしたら…。それこそ大問題。
考えなきゃいけない時が来た。
予想以上に内覧者が。好印象者もいれば、ケチを付けたり、あれを壊してこれを壊して全面内装工事を考える者も…。
思い出がたくさん詰まった我が家が…。
若い頃やたくさんの思い出が何度も頭を過ったりして、心境が複雑になってくる。
値段も100万ドル近くまで。私だったらすぐ手離しちゃうな。そのお金でもっといいマンションを。お金があったら一番したい事は、今の古アパートからの引っ越し。
まあでも、私の住んでるアパートがそんな高値で売れる訳ないし、彼らと状況も違う。
やっぱり、手離したくない…。そう思い始めるアレックス。
姪は元より、そんな夫にルースは…。
何もしなくても長年連れ添った老夫婦を、滲み出すかのように体現するモーガン・フリーマンとダイアン・キートンが素敵。
やり取り、日常茶飯事のような言い合い、お互いへの思いやり。
ちょっとうるさいけど、姪役のシンシア・ニクソンもスパイス。
“眺めのいい部屋”と邦題になってるだけあって、何気ないNYの街の風景が魅力。ちょっとNY暮らししてる気分…?
何となくそんな感じしたけど、結局まだ手離さない事に。姪の苛立ちも分からんではないが。
いつかは手離す事にはなるだろう。でも、今はまだ。
ここで暮らしていく。夫婦二人で。後、可愛い愛犬ちゃんも。
不便であっても愛着ある我が家。
住めば都。
内覧会の日に、色々騒動が起きる。
愛犬の病気は二人にとって心配事。我が子同然。
これと同じくらい挿入されるのが、近くの橋で起きたテロらしき事件。その都度その都度ニュースで報じられ、注目の的。
何か話に絡むのか…? 例えば事件に巻き込まれるとか、犯人が内覧希望を偽って籠城してくるとか。
幾ら何でもそんな事はなかったけど…、これは一体どういう事だったんだろう…??
住み慣れた街だけど、常に危険が潜んでる…?
愛犬の病気はペットを飼ってれば起きる事だから分かる。作風や名優二人の好演もいい。が、この部分だけ解せなかった。