函館珈琲のレビュー・感想・評価
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まだ、青函連絡船が運航していた頃、寺町通りから函館山を登り、立待岬...
まだ、青函連絡船が運航していた頃、寺町通りから函館山を登り、立待岬迄縦走した事がある。縦走と言っても、333メートルの山なので、1日で縦走出来た。ハイライトは勿論函館山なのだが、山頂から少し立待岬へ降った所が、旧日本軍の砲台だった。
砲台だけあって、海側が開けている。つまり、夜景等で有名な函館市の風景が見えて、振り向くと見覚えのない海が見えた。大間の海である。この映画はその情景で終わる。
函館の珈琲はどんな味。
函館の街は坂が多い。それも勾配傾斜がキツイ。でも素敵な街。坂からのながめが最高。異国の漂う雰囲気がある。
作家を希望している男性は珈琲の入れ方が上手。どんな味なのか飲んでみたい。この作品はガラス職人の女性とクマのぬいぐるみに思い入れのあるクマぬいぐるみ職人の男性。住人とのふれあい方がとってもナチュラルで距離感がいい。珈琲の香りに誘われて人が集まってくる。
そんな日常を描いた作品。
アナログとデジタル
函館の町と相まって、アナログな素敵な世界だなあと心地よさにふけってたら、Macをつかってのせどり転売。そこだけが闇なのが、すごく効いています。
個性的な住人たちはうまく演技されているなあと思いました。前半部分のテンポが悪かったので、なんだかなーと思っていたのですが、後半巻き返しましたね。子どもと別れたエピソードや、自分の発した言葉をメモするシーン、好きです。小説家に戻るかと思いきや戻らなかったのが、このストーリーの面白いところですね。
本と珈琲は僕の大好物なので、入り浸ってしまいそうな店です。
で、小説家さんと写真家さん、結婚すればいいのにね。
インキュベーション物語
函館港イルミナシオン映画祭ゆかりの、函館に思い入れのある人たちが造った若いクリエーターたちの群像劇。
劇中でも「函館は時間の流れ方が違う・・」、「かっての幕府軍のように逃げてくる場所・・」などと語られる、そういえば「あとは追うなと言いながら後ろ姿で泣いてた~♪」ひとも函館の女でしたね、舞台となる翡翠館の住人はそれぞれ訳ありの過去をかかえ淋しがり屋の一人好きのような葛藤をかかえている。
函館であれば函館山からの夜景は欠かせないが観光名所的なスナップはあえて避けて描かれるのは心象風景的、今どき珍しいピンホール写真を引用している。
ただ、クリエーターの繊細さ、感性の描写が大切な筈なのに些細な所が気になってしまった・・。
ガラス職人の一子は佐和のとった写真の函館の海、空の藍、青に惹かれたというが写真では色が分からない、コーヒー好きが高じて喫茶店を開く桧山の入れるネルドリップのコーヒーも肝心の泡の盛り上がりが描かれず、雑な入れ方に見えてしまった。
家具職人の藪下が思い出で語られるが桧山との間に何があったのかは語られない。翡翠館行を桧山に勧めたのは住人達が同じ心の傷を舐めあう療養所的な効能を思ってのことだったのだろうか、愛着のある丸椅子を海に投げ入れるのは子に過大な期待を寄せる親への反発心の類だったのだろうか、オール函館ロケに拘らずエピソード位入れても良かったのではないでしょうか。
あがた森魚さんは函館映画祭の立役者ですから特別出演は分かりますが独特の歌は作品のイメージを壊すので要らなかったですね、喫茶店のマスター役は良かったのに蛇足になってしまいました。画づくりに拘る反面、突然の大声のセリフ挿入やバイクのエンジン音など音での演出は強引な印象でした。
まあ、誰でも思い悩む時期はあるのでそんな時は本作に想いを馳せて函館に行ってみるのもありかなと思いますが、感傷的な物語のせいでしょうか映画で描かれる街はどこか寂しさを纏っているように映り余計に落ち込むような気も否めません・・。
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