下衆の愛のレビュー・感想・評価
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内田監督作品
ミッドナイトスワンを鑑賞して、内田監督ってどんな作品を作る人なのか興味が湧いて鑑賞。
なかなかクセのある。
音楽のセンスが良い。
人間の弱さをよく知っている。
とまぁ、私が受けた印象。
本作は下衆peopleが集まって、利己のために体を使い、人を使い、自論だけはしっかり持ってて、とにかく映画に取り憑かれてました。
渋川さん。普段脇役でその存在感を発揮していましたが、本作では主役の監督を熱演。
過去の栄光しか強みがなくて、女優やスタッフを下に見て、とりあえず好き勝手やってる下衆。それでも映画への愛?執着?があって、最後はまた立ち上がる。
こんな監督ばっかりがリアルにいるとしたら、世の中大変やなぁと思うけど、これがフィクションにも見えないから困ったもの。私も大人になっちゃったな〜。
他の役者さんも有名なバイプレーヤーがずらり。
若手の役者さんもとても素晴らしい演技でした。
ミナミ(岡野真也)が古館完治演じる監督にバックで突かれながら喘いでいるシーンなんてめっちゃ良かった。
爽やか、後味スッキリ爽快!
ってな映画では無いけれど、嫌悪感だけが残ったりするわけではない。不思議な映画。
下衆大集合の中で、人間臭さや映画愛を垣間見れるそんな楽しい作品でした。
ミッドナイトスワンに通じる、人の温かさも充分感じとることができましたが、感動して涙ってシーンは皆無。
男と女はこれで成り立っている!!
世の中男と女しかいないんだから、これしか無いだろうという感じです。大学サークルや過激派内部のドロドロ感にも共通しますが、女優がなぜ共演者や監督と交際するのかが分かります。中盤、二人が出て行って、眼鏡の女(楓)に抱き着けよ!と思ったら期待に応えてくれたので、すんなりと世界に入り込む事ができました。自分には無い刺激的な日常で面白かったですが、ラストはやっと具体的な行動を始めたという事なのだろうけれど、楓へのフォローも無いし正直印象は弱かったです。
芸達者脇役陣大集合
バイプレーヤー達の面目躍如といった配役。映画の世界の裏側を垣間見えるような内容をなぜに外国人がプロデュースしたのかという怪訝さはあるが、逆に日本人ならば遠慮してしてしまうようなことなのかもしれない。そういう意味では大変なリアリティが感じられた。いや、実際は知らないのだが・・・
主役の○○がとても素晴らしい演技。『アレノ』の時もそうだが、こういうトッポい役、アウトロー役、そして、クズ役を今一番巧く演じることが出来る役者だろう。こういう役者の人って本当に貴重だ。別に男優が全員ジャニーズではないし、だからといって西田敏行や、○○のような役者でもない。こういう喉越しが悪いザラザラした引っかかる俳優がいてくれなくては困る。こういう監督っていうのは本質なのだろうかもしれない。人生をフィルムに切り取るような神のような立場となるとこれも又一種の性格破綻者であることが絶対条件なのだろう。
助監督役の実はバイで、密かに監督に恋心を抱く設定も、一瞬劇画風のイメージが流れる本作において、ギャグの部分として貴重な緩和を与えていて秀逸である。本人が真剣で必死であればあるほど、充分可笑しい。
ヒロインの新人女優役の○○の変貌ぶりもなかなかで、枕営業の際のバックで突かれるシーンでの喘ぎ声が完全な演技だということを、敢えて主人公の監督に見せ付けるところは、この世界ならではの縮図を突きつけられたようで、息を飲むシーンだった。適当に裸はでるのだが、皆が皆、体型が崩れていてそれもまたリアリティを感じさせる、うら寂しさがある。
古館完治 ○○完治 きのしたほうか でんでん といった何重にも癖のある脇役陣、そして女優にしがみつく役をやらせたら右に出る者がいない○○等々、この世界の魑魅魍魎さが綿密に表現され、こんなグズ共が、それが故に『映画』という麻薬に侵され、そして蝕んでいく正に『業』な仕事なのだと改めて胃の奥にズシンとのしかかり、厭が応にも逃れられない妖怪達の生き様を直視させられる映画だ。ラストシーンのチンピラヤクザ達の逆襲での鉄パイプ振り下ろす寸前でのカットなど、70年代の『俺たちに明日はない』等々のギャグも織込んだハードボイルド的テレビドラマを思い出す。テレビではこういう内容は古いのかもしれないが、映画ではきっちりこのジャンルは生き続けて欲しいと切に願う。
※ポートレートの『ジョン』は、ジョン・カサヴェテスの模様
汚ないんだよ!
昔の実績にしがみつく人達、それにあやかろうともてはやす人達、ふとしたきっかけで目覚める人、誰しもが持つ下衆な部分を愉しくエロく協調してみせてくれる映画。
「私女優になる!」昇っているのか、堕ちているのか、笑いだけじゃなくて感じるところもちゃんとあるし、この後どうなるのか、どんな映画を撮るのかが気になる終わり方もなかなか良いモヤモヤ感があった。
それに加えて悪のりの様な展開のラストシーンも楽しかった。
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