「ほっこりおじいちゃんロードムービー」ロング・トレイル! つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ほっこりおじいちゃんロードムービー
ロバート・レッドフォード演じる、もう40年新作を書いていない紀行文作家ブライソンが、ニック・ノルティ演じる旧友カッツと共にアパラチアン・トレイルの踏破を目指すロードムービー。
道中の美しい景色が、ある意味一番の見所かもしれない。とくにクライマックスシーンは、どこだかわからないが息を飲む光景だ。
老いたとはいえ、清廉で寡黙系のレッドフォードと、ワイルドでガサツ系のニック・ノルティではなんだかシナジー低そうだなと心配していた。
そんなイメージを巧みに利用し、序盤はまさに、この先大丈夫か?と不安にさせ、久しぶりとはいえ元々友人であったことさえ疑問に思うほどのチグハグさで笑いを狙ってくる。
それが次第に普通の友人へ、そして終いには長く共に過ごした親友にしか見えなくなるのだから、アパラチアン・トレイルの景観の効果は絶大だ。
ブライソンとカッツは今まで積み重ねてきたものに物足りなさを覚えこの旅を始めることになる。
その中で新たな何かを掴もうと試みるが、老いという現実がそれを許さない。
そして、身の危険が迫ったときに振り返り、ここまで積み上げてきた人生は、良いことも悪いことも含めて無意味ではなく、自分にとって価値ある暖かさのあるものだと気付く。
それはブライソンとカッツの友情にも同じことが言える。
最高に面白いとは言えないけれど、暖かくクスリと笑えて美しい、冒険おじいちゃん映画でした。
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