「まさに語り継がれるべき映画」タレンタイム 優しい歌 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
まさに語り継がれるべき映画
鑑賞後にじわじわと心に残り続ける、まさに語り継がれるべき映画です。2009年7月25日、本作発表後に51歳という若さで急逝したヤスミ・アフマドン監督の早すぎる死が、映画史的にも大きな損失となったことを刻印するような作品。
英語、マレー語、タミル語、中国語、広東語など複数の言語が飛び交い、様々な人々が混在する世界を肯定して、民族や宗教の壁を軽やかに越える世界を描いているのがヤスミン作品の特徴です。
本作のドラマが心に残るもうひとつの魅力は音楽。ドビッシューの「月の光」が印象的に使用され、インド映画の曲も流れますが、マレーシアの人気アーティストであるピート・テオが作曲した「I Go」と「Angel」、「Just One Boy」は一度聴いたら耳から離れないほど心に沁みます。
ヤスミン作品は人への愛と寛容、思いやる優しさに溢れており、混在する世界の現実を見つめながら、ユーモアを忘れないその世界とつながってみて欲しい。
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