「.」ババドック 暗闇の魔物 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅で鑑賞。オーストラリア産の日本劇場未公開作。最小限に抑えた効果音やBGMに加え、眼を凝らすと背後や暗がりにさり気無く何かが居る描写が多々あり、控え目な演出に好感を持つ。ただ問題児の一人っ子を抱え孤独を深めるシングルマザーに心を寄せる同僚、疎遠になりつつある妹、妖しい二人組の勧誘者に優しい隣人等魅力的な設定が活かしきれていない。心を病んだ様なミスリードもあるが、“サミュエル”を襲う辺りをピークに尻すぼみになり、フェードアウトするかの如く終わる。自宅に飼い馴らすラストは『ブレインデッド('92)』を想起した。50/100点。
・難しい役所乍ら鬼気迫る熱演が光る“アメリア”役のE.デイヴィス、雰囲気やルックスがYOUに似ている箇所があった。亦、このテの作品にしては、珍しく劇中内で誰も死なない。
・J.ケント監督が初めて撮った短篇"Monster('05)"の長篇化したものだが、原題の"Babadook"は"bad book"のアナグラムで、セルビア語でブギーマンを意味する"babaroga"よりインスパイアされ命名された。因みに"Baba-Dookh"と云うウルドゥ語は「父の悲しみ」との意味があり、本作の伏線も担っている。
・250万ドルの予算の内、クラウドファンディング"Kickstarter"により齎された30,071ドルの殆どは、アートワークに費やされた。
・女優としてキャリアがある監督の初長篇作だが、主演の“アメリア”役のE.デイヴィスとは、同じ演劇学校に通っていた。
・鑑賞日:2016年1月13日(水)
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