アレノのレビュー・感想・評価
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幼馴染みって
友人が極端に少ない自分とすれば、ましてやガキの頃から一緒だったという人間など想像もつかない。ドラマであるそんなシチュエーションでの物語のスタートは、だからして未経験さ故の甘酸っぱい郷愁が湧いてくるものだ。実際はどうなんだろうか?・・・
男2人、女1人の幼馴染みのファンタジーである。
2人の内の一人が抜け、後に残された2人は結婚する。しかし、男は身体が弱く、姑との関係も相俟って精神的に疲れている。そんな中で出て行った男が帰ってくる。一瞬で恋に落ちる二人。そして夫を殺害する計画を立て、実行に移す。湖から遺体が上がる迄、湖畔のホテルで待機する二人。待つ間に事の重大さ、殺してしまったからこその忘れていた愛情、そして幽霊となって現われる夫。忘れようとする為なのか、やっと二人きりになれた喜びなのだろうか、激しく求め合う二人。そんな中で心の移ろいが、津久井湖畔の自然の情景の美しさをバックに、淡々としかし、静かに燃える蝋燭の火の如く形を変えながら切なく進んでいく。
結末の落とし処は分からない。橋の上を車を動かす女。ジグザグに進み、危ない運転は自分の人生なのか・・・ 後追い自殺を試みるも失敗に終わる出来事もあって、ドラマの様に綺麗に終れない情けない姿がそこには存在する。
訴える映画ではなく、流れる映画。主人公の女の移ろいゆく心の有り様を噛みしめるような心地で観る映画である。
こういう映画が好きになれば、もっと人の心が読み取れるのではないだろうかと感じさせた。
個人的には絡みのシーンでの、2人の求め合う姿がまるでレスリングの試合のような感じで少々コミカルであったがw
偶然舞台挨拶に。
居合わせてラッキー。渋川清彦が生で見れるかと思ったら彼だけ来ていなくて残念。しかし主演の山田真歩さんはきれいな人で感動した。本編ではほぼメイクもなし、とくに美人だという印象は受けなかったが、魅力的ではあるなと思った。監督が舞台挨拶で言っていた山田真歩をきれいに撮るための映画、という話を聞き、妙に納得した。ちょいちょい出てくる死んでるはずの夫。途中の三人の絡み、逢引のシーンはなんだったのだろう?死ぬ前?死後?ラストの運転のシーンはどういう意味?チープな頭しかない私にとっては難しくもあった。これが監督にとって遊びの作品と言うのなら、逆にすごい作品なんだと思う。
これぞ映画
東京国際映画祭の日本スプラッシュ部門で一足早く観賞。エミール・ゾラって「居酒屋」という作品が最も有名だとは思うが、この作品は「テレーズ・ラカン」を下敷きにしているとのこと。『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネ監督がこの同名小説を映画化したことがあったけど、最近だとパク・チャヌク監督の『渇き』もそうらしい。
最初にはっきり言ってしまうと、この映画は明確なわかりやすいカタルシスは無い映画。ただ79分間、ずっと映像世界に陶酔できるような感慨が沸き起こる。今時めずらしく16㎜フィルムで撮影していて、ワンシーンワンシーンがとても詩的。映像のざらつき具合も、ぞんぶんにその効果を発揮している。主演の山田真歩って「サイタマノラッパー2」に出てた主役の女優とのことだけど、女優魂炸裂って感じで大きな存在感を見せている。
昨今のテレビドラマから派生したようなわかりやすい映画とは一線を画す作品だった。
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