劇場公開日 2015年12月19日

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「初恋、遠距離、過ぎて行く時間」あの頃エッフェル塔の下で ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5初恋、遠距離、過ぎて行く時間

2015年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

誰かを想う事が人を愛することであるとするならば、今作のアプローチは見事に的を得ている。遠く離れた恋人を想い、手紙を綴る。メールやSNSが当たり前の昨今において、1980年代の恋人たちのやりとりは、すぐに会えぬ愛しい人への思いをより深いものとして観客に提示する。

受け取った手紙を読むその演出は半ば妄想の世界だ。時には色鮮やかな木々の中で、時には鈍色の空の下で恋人が言葉を読み上げる。フランスという異国感も相まって、それらのシーンに時折ハッとさせれる。

物語は回想劇だ。ひとりの男が初恋相手を思い出す。遠距離となった2人の恋がどのような結末を迎えるのかを想像するのは難しいことではない。一途な恋を好む私にとっては、中盤の展開には共感し難い点はあったものの、過ぎた時間は戻らないという現実と愛した時間は消え去らないという“愛の不変さ”が映し出されるラストシーンにこの作品の核心を垣間見た気がした。

Ao-aO