「真に尊重するということ」バジュランギおじさんと、小さな迷子 えりこさんの映画レビュー(感想・評価)
真に尊重するということ
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イスラムの神の加護を求めて訪れたインドで、ひとり母親とはぐれてしまう、声の出せないパキスタンの少女、シャヒーダ。偶然出会った彼女を親元へ返すため、命懸けで国境を渡ることに決めた、「バジュランギ」おじさん。国も国境も、年齢も性別も違う2人の、故郷へ帰るためのロードムービー。個人的には「グリーンブック」より心動かされました。目頭を押さえても、ぽろんぽろんと涙が止まらない、ボリウッドの傑作。
愚かしいくらいに素直で優しいバジュランギ、何にも興味を持たず、何にも秀でない、「0 ゼロ」と呼ばれた彼が、シャヒーダーを必ず送り届ける、と誓ったとき、その目にハヌマーンの力を宿します。このあたりは「ライフイズビューティフル」を彷彿とさせる、優しい覚悟の描き方。また、とはいえ、見ず知らずの子にどうしてそこまで?という疑問を打ち消す、天使のようなシャヒーダー。大きな目でニコニコ首を振る仕草が可愛すぎて…… この子を見捨てられようか!という説得力。台詞なしであの表現力も素晴らしい。
恥ずかしながら印パ関係には決して明るくない私ですが、熱心なハヌマーン信者で、肉食を嫌厭し、モスクに入ることもためらっていたバジュランギが、シャヒーダーのためにイスラムの聖堂で祈り、祈祷の歌に涙する、それがどれだけ美しいことかということはわかります。
歌が長い、とか、歌が長い、とか、ここまできて、最後のカットのボリウッド感!とか、人により驚くかと思いますが、それもご愛嬌。とにかく素晴らしい作品、泣きすぎて次の日は目が腫れてしまうので-0.5
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