「彼が危険を冒してまで密入国した動機は、愛でした。」バジュランギおじさんと、小さな迷子 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
彼が危険を冒してまで密入国した動機は、愛でした。
とにかくお人好しで、嘘がつけず、曲がったことが大嫌いなパワンが、口のきけない少女を保護する。次第にパキスタン人であるとしりながらもほうっておけないのがパワンだ。そんな彼にラスィカーが惹かれる感情も自然な流れ。また、ジャーナリストチャンドが手助けし、隊長や刑事が彼を認めるのも人としての義侠心だ。インドとパキスタンの政治的確執、宗教的反目を真正面からとらえながも、説教臭くなく、ちょっとウェットをからめ、けして卑下せず、相手をくささない。だから素敵な感情がこみあげてくる。とりわけ目新しい筋書きでもないのに、ほぼ満席、周りでは何人かの鼻水をすする音もうなずけた。
パワンみたいな人間がもっと増えれば、争いなんて生まれないのにね。
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