「あらすじを説明するだけでネタバレになりかねない」トランス・ワールド といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
あらすじを説明するだけでネタバレになりかねない
YouTubeの映画紹介動画で「伏線回収やどんでん返しが観たいならオススメ」と名前が挙がっていた作品。内容に関してはほとんど知らない状態での鑑賞になりました。
結論としては、不満点が無いわけじゃないけど非常に楽しめました。序盤から不穏な雰囲気があり、「ホラー映画かな?」という感じなんですけど、登場人物が少しずつ増えてきて新たな情報が出てくる度に「あれはそういうことだったのか」「あれも伏線だったのか」という驚きの連続で、伏線回収系映画が好きな私にはハマる作品でした。ストーリーに関しては何を喋ってもネタバレになってしまいそうな気がしますので、もしもこのレビューを映画を観る前に見ている方がいらっしゃれば、今すぐブラウザバックして映画を観てきて欲しいです。
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夫の実家に夫婦で向かっている途中、車がガス欠を起こして立ち往生してしまったサマンサ。ガソリンを買うために周囲を探索に行ったきり一晩たっても戻ってこない夫を探すため、サマンサも周囲を歩き回ることにした。森の中に小さな小屋を見つけたサマンサは小屋の中で、同じく車のトラブルで三日前に小屋にたどり着いたトムという青年に出会う。その後、彼氏との口論の末に車から追い出されたジョディも小屋にやってくる。三人で協力して森から抜け出そうと画策するも、歩けども歩けども小屋のある場所に戻ってきてしまうのだった……。
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物語序盤、小屋や周囲の森で起こる怪奇現象について描写されます。古ぼけた小屋。壊れた無線機。小屋からまっすぐ進んでいるはずなのに気が付けばまた小屋の場所まで戻っている。ホラー映画のような不穏な雰囲気で物語が進んでいきます。
そして中盤あたりから、偶然同じ小屋に居合わせたと思われた三人が実は別の場所・別の時代から来た人間であることが判明します。これは序盤から伏線が張られていたこともあって「なるほどな」と思う展開で面白かったです。
最後に終盤の展開。「何故三人がそのような超常現象に巻き込まれたのか」が何となく理解できるとある展開が起こり、ラストのハッピーエンド(?)へと続くわけです。果たしてあれがハッピーエンドなのかは解釈が分かれそうな気がします。少なくとも私はハッピーエンドとは到底思えませんでした。
随所に仕込まれた伏線。後半からの伏線回収は実に見事で「伏線回収系の映画好きなら観ておくべき」という評価があるのは理解できます。伏線回収系映画にありがちな弱点である「前半が退屈」という点も、本作ではホラー的な演出で緊張感を維持させていたので「つまらん」とは思いませんでした。