つむぐもののレビュー・感想・評価
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はなしはまとまらない
人生の一部を切り取って見せられた様な、半分ドキュメンタリーに近い様な内容でした。
劇的なストーリーや最後に急展開するなど無いですが、色々と考えさせられます。
こういう映画嫌いじゃないので高評価寄りですが、エンターテイメントとして話が最後に盛り上がってドーーンと感動する〜!!って感じなのを期待してると裏切られるかも。
日韓の絆
韓国と争ってるけど、それは国と国の話で、国民同士は仲良くしないと。
韓国人の女性はやさしいいし、他国から働きに来てくれると助かると思う。
仕事は減らないよ、相乗効果で経済が活性化するから。
この映画みたいに介護なんか、大変で根気がいる仕事は、向いてると思う。
この映画みたいに劇的に変わるのはおかしいと思うけど。
それと、介護職のベテランが暴力振るうの恒常的にあるみたいに描くのは良くないよ、偏見だから。
光が綺麗な映画
話の流れは驚きも少なく、結末もなんとなくの予想はつくが、人物描写がリアルなので飽きさせない。
ヨナと剛生が通じ合うきっかけがもう少し描かれていても良かった。
涼香役、宇野役の演技が瑞々しくて良い。
キムコッピの笑顔がずっと観ていたい気持ちにさせる。
涼香のような一見良い子でも、突然現れて自分より上手く老人たちと心を通わせていくヨナに嫉妬し、上司に告げ口するというのが、完璧な良い子なんていないというリアルさがあり、更に最後にヨナに告白することでモヤモヤが残らず救われている。
ラストは冒頭と同じようにヨナが平凡な日々を過ごすシーンだが、その間に起きた日本での経験は少なからずヨナに影響を与えており、反射的に祖母に手を添える。
冒頭では店の手伝いもしなかったが、今度は軒先きに座ってみようとする。そんな自分に気付き、笑顔を見せて終わる。
今後のヨナがどうなっていくのかは想像の範疇であるが、経験は必ず変化をもたらすというリアルさを、よく描いた映画だと思う。
目線がすごく暖かい傑作映画
映画の冒頭からラストまで、あたたかい眼差しのような画面に惹きつけられながら、介護と家族のつながりについて考えさせられた。
観る前に想像していた日本と韓国、老人と若者というような単純な構図ではなく、人と人の関係は、その間柄の数だけあるものだな、と。もっと自分が歳をとってからも、また観たい傑作だった。
日本映画にありがちな、テーマを声高にセリフで語ったり、泣きわめく演技を延々と続けたりしないのも素晴らしい。それでいて、テーマが胸にまっすぐ届くのだ。犬童一利監督の次回作にも期待したい。
沈黙はかくも語りき
様々なメッセージを孕んだ作品だった。
観る人の人生や環境、今によって、残像が変わるのだとおもう。
異国間の確執
言葉の壁
目的がない故の迷走
学ぶという事
介護の側面とその歪み
伝統の継承と放棄
他人より遠い血縁
老い
環境がもたらすもの
誰しもに訪れる死
言葉では伝わらないもの
言葉だけでは伝えきれないもの
僕はこんなメッセージを読み取った。
数多のメッセージを雄弁に語る事が出来る、優れた設定とキャラクターであった。
それぞれに答えが用意されてるわけじゃない。でも、誰しもがどこかの何かに引っかかるのだと思う。
これらを語るのに膨大な台詞があるわけじゃなく、僕らは時折訪れる沈黙からそれらを読み取る。
その背中から心情を汲み取る。
そういう静かに訴えかけてくる映画であった。
季節は移り、日本に彼女は馴染んでいく。
そこに過ぎていく時間を感じ、紡がれていく人と人を感じる。
ラストカットは彼女のUPであった。
唐突に終わった感もあり、賞賛も応援もできなかった。
え?こんなラスト??と疑問にも感じたが、でもそれで良かったんだとジンワリ思う。
店の中から店先に出てきた彼女。
劇的な変化など現実には転がってはいない。
それでも、彼女がしてきた経験は緩やかに、確実に、彼女を変えていく。
そんなちっぽけな変化が重なって人は成長していくのだと。
だから、焦るな。答えを急ぐな。
そんな事をラストカットは語っていたのかもしれない。
時折、飛び出す石倉さんの関西弁が若干耳触りであった。
方言の方が、余計な詮索をせずに済んでたように思う。
抑えがきいてて、いい映画
「幕が上がる」や「あさが来た」に出ている
吉岡里穂さん出演、というので観に行った。
「介護」 「日韓」 「伝統工芸(和紙)」をテーマに
メッセージのはっきりした作品だが、
声高でなく、押しつけがましさはない。
石倉三郎さん、キム・コッピさんをはじめ、
役者さんたちの演技は抑えがきいていて
じわりと響く。
脚本なのか編集なのか、
若干ギクシャクした生硬さはあるけれど
(犬童監督の若さかなあ)
脳内補正で補える範囲。
いい映画だと思う。
1館(有楽町スバル座)だけでは勿体ない。
たくさんの人が観に行って、拡大上映になるといいなぁ。
そして連なる。
人間らしく、その人らしく。高齢となり身体が効かなくなってきている中で、そのお題目を如何に我が身に引き寄せることができるのか。
世界(といっても先進国の話だが)は脱施設化に向かう中、その逆を行く日本の姿に一石を投じる作品となっていると思う。
コッピ演じる感情表現のストレートさ・行動力。石倉三郎演じる頑固さ・矜持・寂しさ・強がり。ぶつかることをおそれて、本心に嘘をついていては辿り着かない場所がある。
そんなことを教えてくれたような気がしました。
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