「多くの人に観ていただきたい秀作!」ぼくとアールと彼女のさよなら ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5多くの人に観ていただきたい秀作!

2016年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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日本では劇場未公開となった本作は、独特のストーリーとキャラの面白さ、そして映画そのものへのオマージュが詰まった秀作だ。何より面白いのは主人公の物の見方、感じ方だろう。学校内を世界の縮図に見立て、どんな国家(グループ)ともソツなく付き合っていく彼の飄々とした目線は、常に特殊な語り口となって我々を魅了してやまない。だが彼もやがて壁にぶつかり、飄々とした衣を脱ぎ捨て、闘病中の少女を励ますためにオリジナル映画を創ろうと情熱を燃やし始める。そんな主人公の心境の変化がたまらなく清々しく、誰しもが経験する大人への第一歩として実に魅力的。ブライアン・イーノの音楽、ストップ・モーションを駆使した不可思議なアニメも、この柔らかい触感に独創的な色合いを添える。完璧な映画とは言い難いが、むしろその不完全さも含めて親しみは増すばかり。サンダンスでの受賞も頷ける愛すべき作品だ。

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牛津厚信