劇場公開日 2016年2月5日

  • 予告編を見る

「サバイバルに必要なのは、勇気と創造力とポジティブ精神だ」オデッセイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5サバイバルに必要なのは、勇気と創造力とポジティブ精神だ

2016年2月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

火星探索中、一人火星に取り残された男。
生き延び、帰還する事が出来るか…?
アカデミー賞作品賞含む7部門ノミネートのSF話題作。

何てったって、リドリー・スコットのSF!
「エイリアン」「ブレードランナー」のようなハードSF再び!
…と思ったら、アレ、ちょっと違うぞ!?

まず目を疑ったのは、ゴールデン・グローブ賞にて。
コメディ・ミュージカル部門でノミネート。
リドリー版「ゼロ・グラビティ」、はたまたSF版「キャスト・アウェイ」と言ったシリアス物じゃないの??
実際見てみたら、あながち分からなくもない…ような。

もう散々あちこちで言われてるけど、とにかく主人公マークがポジティブなのだ。
軽口を叩いたり、船長の置き土産、ディスコ曲集もどれもノリよく、作品を彩る。
骨太な作品が多いリドリー・スコット映画において、これは意表突かれ、新鮮であった。

マークのポジティブさは、何も頭空っぽのキチ○イだからじゃない。
死を覚悟し、絶望し、苦悩し、それらを踏まえ、現状を打破して好転させようとする強さ。
とんでもない場所故、不測の事態も起きる。命の危険は常に寄り添う。
振り出しに戻っても、また一から始める逞しさ。
こんな仮定の話なんか馬鹿みたいだけど、もしも自分だったら?
絶対無理。
映画を見ててふと思い出したのが、小野田寛郎さん。
終戦を知らず、29年もフィリピンのジャングルで一人生き抜いた元大日本帝国陸軍少尉。
この方は元々手先が器用で、長過ぎる生活を何かを作る事で紛らわしたと聞く。
映画では、主人公がたまたま植物学者という都合のいい設定もあるかもしれないが、人間の最大の武器は知識と経験でもあると感じさせられた。

奇想天外なポジティブ火星サバイバルをテンポよく、唐突の不測の事態や危機を挟み、クライマックスの救出作戦はスリリングかつ感動的に、リドリー・スコットの演出は140分超えの長尺を少しも飽きさせない。
当然行った事も見た事も無いけど、火星の映像がリアルに感じる。
専門用語飛び交い、交信手段や救出作戦など凡人には頭のいい人のやる事はなかなかに難しいが、これもまたリアルに感じた。

ほとんど取り上げられてないようだが、一応サバイバル映画なので、しっかり減量。
マット・デイモンが一人芝居で、火星サバイバル生活を乗り切った。
彼、「インターステラー」でも宇宙に一人置き去りにされていたが、「インターステラー」繋がりでジェシカ・チャスティンも。あちらでは待つ側だったが、こちらでは救出する側に。
地球のNASA組では、人情味あるショーン・ビーンが良かった。

(尚、面白かったので、“ニイハオさんはお友達”には敢えて触れまい)

先日、世界がまる見え出来る日テレの番組で、火星開発計画の特集をしており、その酷似に驚いた。
温室で作物を育てるなんてまさに映画でも描かれ、これは映画では描かれてないが火星を地球化するいわゆる“テラフォーミング”。
理論上可能なだけであって、実現は近くて遥か遠い一歩かもしれないが、かつてはSFの世界だった事が現実のものになろうとしつつある。
それはただの科学の進歩だけじゃなく、時としてそれで人命を救う。本作然り「アポロ13」然り。
人間の強さ、逞しさ、知識と経験、科学力、創造力…これはSFの姿を借りた人間讃歌だ!

追記として2つ。

またまた邦題についてあれこれ言われてるみたいだけど、“オデッセイ”とは“長期の放浪”“長い旅”という意味で、全くの見当違いでもない。
でも、原題“MARTIAN”=“火星の人”の方がしっくりくる。

後、私事ながら、久々の3D鑑賞。
たっぷり堪能させて頂きました\(^^)/

近大
かせさんさんのコメント
2024年3月27日

火星の人がダメなら、マーシャンでいいじゃないと思いますけど、マージャン映画と思われるリスクも。

かせさん