「火星の人」オデッセイ たけ(c)さんの映画レビュー(感想・評価)
火星の人
500点
音楽、SF表現、主人公の驚くような行動力と知恵、とにかく褒めるべき要素が山盛りなんだけども、その辺は置いとこう。
個人的に面白いと思ったのは、主人公が最初に木製の十字架を火口にするじゃん? 燃やしちゃうじゃん?
あれって、今絶望的な危機に居るけど神様には頼りません、神様には祈りません、って宣言だよね?
そう、主人公は確実に死ぬレベルの状況に居るのに祈らない、すがらない。
たぶんこの映画は冒頭で神の存在を否定しているんだ。
神様なんて居ません、困難を乗り越えるのは自分自身です、あなた自身です。って言われてるような気がする。
そして主人公は人間として、人間の持てる小さな力と大きな知恵で困難を乗り越えて行く。
水の無い場所で水を産み出し、有機物の無い火星で植物を作る。
火星で4年間生きようとする。4年だよ4年!ムリムリ。
例えばだけど、この姿をワトニーの事知らない人が見たらどう思うだろう?
火星に行ってみたら、1人の男が畑を作り、居住区を構え生活をしている。
しかも火星には彼しか存在してなさそうだ。
これって火星人だよね?火星初の知的生命体、もう火星に住んじゃってる人。
ちなみに僕は関西人だが、現在は神奈川県民だ、ワトニーも地球人だけど史上初の火星人になったんじゃないだろうか。
原題マーシアンってそう言う意味でも有るのかなあと思った。
そして、この物語の遙か先の未来に、火星が地球人の生活圏になった時、ワトニーは彼らになんと呼ばれるのだろう?
英雄?先駆者?偉人?
いや、きっと未来の火星に住む人たちには「神様」って呼ばれるんじゃないかなあ。
火星に大地を作り、命を育て、水を産み出した人。
この映画は神の否定と肯定を同時に描き、神様の正体は、知恵と知識と行動力と自分を助けてくれるみんななんだよ。と言っているように思える。