「瑞々し過ぎる青春譚。」スパイダーマン ホームカミング すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
瑞々し過ぎる青春譚。
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○作品全体
10代としての日常とスパイダーマンとしての非日常、二つの顔が物語の軸になる『スパイダーマンシリーズ』だが、ここに敵役の日常と非日常も映し、それぞれ抱く正義を鮮明にする。これが面白かった。
ただ、だからこそ、ピーターが敵役の正義にどこまで理解を示し、自分の中でどう消化した上で決着をつけるのか、という部分にもっと触れて欲しかったような気もする。
最初はお客様気分でミッションにも待ちの姿勢だったピーターが、自分自身で今なにをすべきかを考える過程が鮮やかに描かれていた分、辛く、苦い思いをしながら「ティーン」から変わっていく姿は少ない。
ガールフレンドと距離が近づき、周りからも認められ、自身で身近なヒーローでいることを選ぶ…その成長の描写はテンポ良く、清々しさをも含んでいたが、少し喉越しが良すぎる気もした。
○カメラワークとか
・ド定番のカットを逆手に取って「スパイダーマンらしさ」を感じさせる演出が面白い。リズがエレベーターから落ちそうになって、その手に届きそうで届かない手…となったところで糸を出す。常識を超えていく感じがヒーロー味あって良い。
・ピーターとトゥームスの車内のシーンが良かった。信号機の赤色をトゥームスの顔に反射させて、正体が疑われている状況に緊張感を更に足す。信号が青になるとともに会話が一度途切れ、緊張が緩んだかと思ったらトゥームスの顔に反射した緑色がさらに不穏な空気を強調させる。トゥームス役のマイケルキートンの表情芝居も素晴らしかった。
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