「深夜にやってたので」ワンダーウーマン alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
深夜にやってたので
見てみたよ!
自分は断然マーベル派なんで、あまり明るい雰囲気のないDC系列は避けてたんですが(スーパーマンの作品どれだか1つ見て「暗っ」と思って以降DCは見てません)、何かでチラッとワンダーウーマンを見かけたら、おっ、意外と良いかも?と思い今作は興味があったのですが、でもわざわざ借りてきてやっぱりつまんなかったら嫌だなーコロナだしあまりレンタルもしたくないなーとかウダウダしてたら、もう次作が出るとかで。宣伝のためか、(深夜だけど)地上波でやるってことで。見ました!
午後ロードと違って、深夜の地上波は字幕なんですね。嬉しい限り。台詞も併せての「演技」なのに、声だけ別の人間があててどーすんだよ!と思ってしまうので、基本的にアニメ以外は字幕で見たい派なのですが、お昼にやってる午後ロードは絶対に吹き替えなので…今回は嬉しい誤算でした。
ストーリー自体は平凡というか、堅実に売れそうな物語に纏めました、という感じで、特筆すべき点はないです。前半は淡々とした感じで、期待のアクションは後半から。しかも思ったよりは短い…
が、何と言っても主役のガル・ガドットの魅力を存分に引き出す撮り方で、ガル自身もパッと目を引く雰囲気があり、見る方を飽きさせない。
ハリウッドでは近年、女優が主役に起用されることが極端に少ないと問題になっていますが(女性主演は恋愛映画くらいか?)、それを受けて製作された作品のほとんどが、男性監督が仕方なく主役に女優を起用し「今まで男優にやらせてた役をそのまま女優にやらせる」みたいなことが多く、「いや男女平等ってそういうことじゃねーだろ」とずっと思っていたわけなんですが。
じゃあ女性監督が主役に女優を起用すれば上手くいくのかというとそうでもないらしく、従来の「男性監督が作った男性向けの作品」を踏襲した作品に、女性らしい色彩だの何だのをちょっと添加してみました、みたいな、「だったら結局男性監督に作らせて女性がサポートしたのと同じじゃね?」と言いたくなるような出来になったり、恐らくですが、「どうせ女がお情けで作らせてもらった映画だろ」と言われたくなくて無理して突っ張った作品を作ったのかなぁと感じる出来だったり、あるいは「女の自分ならこう作る!」と過度に女らしさ(従来の「男が考える女らしさ」ではなく「私が考える女らしさ」って意味で)を主張してきたりと、何となく不自然な出来であることが多かったように感じます。
それだけ女性監督、主演女優というのは、女だというだけで受けるプレッシャーが重いということなんでしょうが、見る側にはそんなことは関係ないわけで。
加えて今作のようなアクション映画となると、某マーベルの女性主演アクションを撮る時みたいな「女が主演のアクションなんか売れるわけねーだろ('A`)y-~」みたいなアホな上司を除いたとしても、何となく「女性が怪我してるとこ…痛い…(´;ω;)」みたいな繊細な人もいるようなんですよね。前に小さい男の子がセーラームーン見て、「あんな薄着だと怪我したら痛いから、もっと着せてあげた方が良いと思う」って言ってたので、多分これは大いにあると思うんですよね。別に「女が主演のアクションなんか~」とは思ってなくても、やっぱり見てて「痛い…(´;ω;)」と感じる映画は避けたいし。ゴリラみたいなマッチョがちょっとくらい怪我しても「痛覚あんの?」と思いますが、折れそうなほどほっそりした人が「こう見えて強いです」と言ったところで、やっぱ我々の脳は追い付かんわけですよ。そいつが男か女かに関わらず、体型がガッシリシッカリしてないと、やっぱり無意識に「…痛いジャン(´;ω;)」と思ってしまうわけですよ。
今作のガル・ガドットの何が良かったって、この「痛い…(´;ω;)」がない!!!!
いくらCGで車を片手で投げたり、マッチョの首の骨折ったりして、音響でゴキッみたいなスゲー音つけても、やっぱり視覚的に「いや、そんなことできるわけねーじゃん」って思ってしまうような細腕じゃ、説得力に欠けますよね。でも!ガルは大丈夫!何かそんな気がする!!痛くない!この人、ぶん殴られても吹き飛ばされても、痛くない!痛くないぞオォォォオ!!!!!!(゜▽゜)
これ本当に大事だと思います。何が違うのかわかりませんが、自分は『Mr &Mrsスミス』のアンジェリーナ・ジョリーがぶん殴られた時は「イターイ…もうヤメテ(´;ω;)」となってしまいました。
アンジェリーナも、当時ゴリゴリのアクションこなしててかなりの細マッチョだったみたいなんですが…何の違いかはわかりません。
ちなみに大抵映画は家族と一緒に見るのですが、今回は深夜だったこともあり一人で見まして、見る前に家族に「こういう映画らしい」と写真を見せたら「強そう」「痛くなさそう」「人選が良いね」と言っていました。やはりな…!
ガル・ガドットの人選の良さについて長々語ってしまいましたが、他のキャスティングはというと…個人的にはあまり印象に残りませんでした。
ガルの魅力で持たせた映画というと言い方は悪いですが、作品の傾向としてはマーベルの『キャプテン・アメリカ ザ・ファーストアベンジャー』と同じで、今後のシリーズの序章としてキャラの紹介をしておきますよ、という感じ。『ファーストアベンジャー』のレビューでも書きましたが、正直言ってこの「シリーズの序章ですよ」の雰囲気漂う1作目というのは、大抵ダラダラとしていて印象に残らず、飽きます。
今作は『ファーストアベンジャー』ほどではないものの、やはりキャラ紹介がちょっと長め。ただしキャラ紹介しつつもきちんと物語は進み、他キャラとの親睦を深める描写もあるため、「いつ本番始まんの?(θ_θ)oOO」「え、お前らいつの間に恋仲になったん???」というアメコミあるあるは一応回避してくれたように感じます。
ただ自分が少し気になったのは、主役のガルを引き立たせるのに全力を注いだ結果、恋人役のクリス・パインの出演シーンはほとんど「この辺でクリスを引き立たせ…いややっぱりガル…いやクリス…うーん…やっぱりガルで!」みたいな迷いを感じるというか、「じゃあいっそのことクリスの役いらなかったんじゃねえの!!?」と突っ込みたくなる中途半端な感じになっていて、クリスかわいそ…( ;∀;)
多分、監督はガルが気に入って気に入って仕方なかったんでしょうね。笑
正直、自分は見てて本気でクリスの役はいらなかったんじゃないかと思うんですが、でもあの落としどころに持ってくには確かにあの役は必要で、でもなぁ…?って見ながらずっとソワソワしてました。
脚本のせいなのか、それともクリスの技量不足…?なのか?全然印象に残らない役でした。一応、主人公の恋人役で、ただの人間ではあれど自分にできることをやっていて、優しくて勇気があり、良い役どころではあるんですが…ガルの方がめちゃくちゃオーラが強すぎて、クリスは搔き消された格好ですね。多分。笑
ハリウッドに沢山いるクリス(マーベルのソー役クリス・ヘムズワース、キャプテン役クリス・エヴァンス、ジュラシック・ワールドシリーズ主演クリス・プラット)の中でもクリス・パインはあまりパッとしないそうですが(本人も自覚があるらしい)、次作もクリス・パインは出演するそうなので、次作の活躍に期待しましょう。確かに元々あまり目を引くタイプではないんですよね。主役じゃないから、それで良いのかもしれませんが。女性には人気…?なのかな?クリス・パイン。
日本はまだまだ男女同権にはほど遠いといわれているようですが、今作もアメリカでは男女共に高評価だったものの、日本ではあまり認知度が高くなかったとかで、女性主演、女性監督の映画が今後増えていくなか、日本ではどういう動きを見せるのか?というようなことも、映画界隈ではヒソヒソ言われているみたいですね。
まぁ、『キャプテン・マーベル』の時も「女が見て必死に高評価して回るんだろw」というようなコメントがついてた日本ですから、勿論そういう見方もありますが、でも今作に関してはマーベルが『アベンジャーズ』シリーズで大当たりした半面、DCは『ダークナイト』が話題になったくらいで『スーパーマン』『バットマン』と最近はいまいちな業績続きで、長いこと落ちぶれてたせいもあると思うんですよね(小声)。
最近のDCはイマイチ…と思ってる人には、ぜひ一度見ていただきたい作品です。何度も見たいかと言われたら意見は分かれそうですが、少なくともワンダーウーマンの魅力は伝わるし、DCもまだやれるなと感じられると思います。
何度でも言いますが、ガル・ガドットを起用した人、あっぱれです。
また、今作は戦時中の話ということで色彩があまり感じられない映像でしたが、黒やグレー等の暗い色の服しか用いてないにも関わらず、登場人物の魅力を引き立てるファッションの数々もお見事でした。次作は裏方の給料も上げてくれぇ!
CGは少々安っぽいですが(3年前ってそんな安っぽかったっけ?)、見られないほどではないし、ガルの足の速さというか、足が地に着く時の力強さが、アマゾン族の「人間にはありえない強さ」に説得力を持たせていて非常に良かった。足を前後に動かすスピードや足を地に付けた時の視覚的に感じる重みというのは、CGや音声ではカバーできないんですよね。「その足の着き方でそんな音しねぇーよ!!」と他の映画を見ていて何度思ったことか。
脚本は堅実すぎて少々物足りなかったものの、後は概ね満足でした。大興奮!とか感動!とかいうほどではないですが、ただただ主演のオーラに脱帽。DCの今後に希望が持てました。
最近のスーパーマンやバットマンがつまんなかった理由が、色彩のなさのせいじゃなかったってこともわかっちゃったけど(小声)。