「シンプルに美しい」ベル&セバスチャン カイエ☂さんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルに美しい
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昨年の鑑賞のなかでベスト3に入れた一本。
好きすぎて毎週通って、4回鑑賞した後、DVD購入。
セバスチャン役のフェリックス・ボシュエくんが、りりしい美少年。
あどけなさと、何というかあのあたりの国特有の独り立ちしている子供…のイメージがよく出ていたと思います。
険しい崖を降りられるか、と言われ、全く物怖じせず子カモシカを救ったり、撃たれたベルを救うために医師のギヨームと交渉して、言いつけたら逆に秘密を言いふらすよ!とえげつなく脅してみたりとか。
劇中の歌も彼によるもので、少年特有の高い声がとても沁みます。
ベル役のグレートピレネーズも大変よかった。
薄汚れた野獣の姿の時は目つきも厳しく、まさに野獣なのに対し、白く綺麗になって、セバスチャンに心を開いた後は、慈愛に満ちていたりおどけたり、とてもかわいらしく…役どころを理解していたのかな…と驚かされます。
おじいちゃん、セザール役のチェッキー・カリョもよかった。セバスチャンの母について告白するときは思わず涙を誘います。
ドイツ軍将校の彼も、実はいい人だった。基本的に悪い人は居ない、序盤のアンドレの言葉にこの物語が集約されていますね。アンドレ役の方はかつてテレビドラマの折りにセバスチャンを演じた、原作者のセシル・オーブリーの実子なのだとか。
探検家でもあるというニコラ・ヴァニエ監督の映像は、自然の移り変わりをとても美しくとらえています。
いつの間にか夏が過ぎ、秋が来て、やがて白い雪に埋め尽くされるアルプス。
厳しい冬が終わり春を迎える頃、同い年の友達も出来たセバスチャンを写して終わるこの物語はけれど、終わりのない物語でもあるのだと気づかせてくれます。
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