劇場公開日 2015年10月24日

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「未熟なものが成長していく王道ストーリー」ボクは坊さん。 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5未熟なものが成長していく王道ストーリー

2015年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

幸せ

坊主という世界を舞台にしているが、未熟なものが成長していくという映画では王道ストーリー。

全体としては悪くない。
悪くないんだけれど、どういえばいいのか、「あ、なんだか、テレビドラマのプロローグ」みたいに思っちゃう。

主人公が踏ん切りをつけるキッカケはふたつあって、ひとつは現住職の死去。
でも、よく考えれば、主人公は高野山大学で勉強しているわけで、ちょっと一般人の生活をしてみたかった、というあたりの葛藤が希薄。
まぁ、モラトリアムには理由なんていらないのだけれどね。

で、主人公が踏ん切りをつけるもうひとつは、幼馴染の女性が、出産と同時に意識不明・昏睡に陥ってしまうとこと。
当初は、大学で学んだ内容から、この件について頭で理解しているけれども、彼女の夫が離婚を申し出るあたりから、頭での理解以上の「実践」に踏み切っていく。

このあたり、ちょっと映画としてハナシをつくりすぎではありますまいか、と思うのだけれど、ドラマ的には悪くない。

すなわち、「理解」と「実践」は異なる。
実践してこそ、理解していたことが活かされる。
そうして、成長していくわけだ。

イッセー尾形扮する檀家の長老が、ことあるごとにこの若い住職を遠目(ときには近く)からみて、進言・忠告めいたことをいうのだけれど、終盤の主人公の実践で、その言も活きてくる。

こう考えると、おやおや、映画としても、そこそこ巧いのかなぁ。
まぁ、ちょっと過剰な音楽がテレビドラマ的なんだけれども、いい出来かもしれません。

ということで、主人公の今後も観たいなぁとも思います。

りゃんひさ