「ひとつひとつが退屈」二重生活 圧倒的まきちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとつひとつが退屈
原作未読です。
岸井ゆきのが出てる映画を観ていた流れで視聴しました。岸井ゆきの良かったです。
卒検のために無作為に選んだ人間を尾行することにした主人公は青山にいる長谷川博己を尾行する。早速女との不倫現場を目撃して、段々と安全圏から人の秘密を覗く事が楽しくなっていく。
尾行は好き。観てるこっち側も少しのスリルを分けてもらえるような、ウキウキがあった。良かった。
主人公が卒業研究にどっぷり浸かっていくのに対して、教授は癌の肺転移を受けて親孝行をしながら主人公の研究の完成を楽しみに、日々を静かに過ごす。
作品の大きな柱はこの2つだが、まず後半の教授の生活はくどかった。あそこまで丁寧に描く必要は無くて、リリーフランキーがたくさん見れる事以外は退屈だった。ラストが近いのに、今更謎解きの答え合わせを始める構成になってることが心底つまらなかった。
主人公の研究というメインストーリーは1時間くらいでルールが破綻して、ついでに生活も大きく変化する。つまらない。ルールの破綻で変化をつけるのは必要だが、主人公の過去をダラダラ説明するだけ。そして和解。退屈な一本道。ただお尻は嬉しかった。この過去もつまらなくて、長谷川博己が言うように陳腐でありきたりで胸以外何もない。
菅田将暉は家に引きこもっているのを表すためか、だんだん毛量が増えて髪の毛がコサック帽のようになっていく。挙句こっちは尾行の研究を面白いと思っていたのに、1ミリも興味を持たずに感情を爆発させる菅田将暉には、こんなやつが作るゲームが面白いわけないだろと愕然とした。度々かかってくる電話は1回くらい内容を開示した方がスリルと現実の差が生まれてた、かもしれない。チープかな。
度々差し込まれる監視カメラの映像は面白かったが、ノイジーな音があまりにも不愉快。無音で流して欲しかった。あれはどういうつもりでつけた音なのか小一時間問い詰めたい。
菅田将暉さえいなければもっと詰めれたしもっと役者を活かせた気がしてならない。ひとつひとつが物足りないのに、長く感じる。最後ダラダラと結語を話すのは結構だが、車内の撮影もカメラが左右に動いていることにすら意味を求めてしまうほど退屈な映画だった。もっと役者を信じて大事に使った方がいい。