「誰もが持つ多面的な部分。」二重生活 キッスィさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが持つ多面的な部分。
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哲学の修士論文で対象者を尾行し、そこから「人間の実存とは」を導こうとする。
論文を書くのはウェブデザイナーの卓也と同棲する珠。
対象者Aは目の前に住む家柄もよくぱっと見セレブな家庭を営む男性。
だが、不倫をしており、それが尾行しているタイミングで妻にバレて、妻は自殺未遂、愛人とは別れるというダブルパンチ。
しかも対象者とは話してはいけないのに、尾行が本人にバレてしまい、対象者B(自分の指導教授)に変更する。
会話や多い訳でもなく、門脇麦の表情がこの作品の出来栄えを左右するが、これはかなり成功している。尾行をしているドキドキ感から始まり、その人に感情移入してその人の人生と置き換えるほどに変化していく。
すごく大きな出来事があるわけでもなく、淡々と進んでいくが、誰もが二重生活のような複数の側面を持ちあわせていて、それが誰にも知られたくないこともあるのだ、という繊細さも感じる作品である。
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