「妄想おじさんが面白い」ボヴァリー夫人とパン屋 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
妄想おじさんが面白い
フローベルのボヴァリー夫人は読んだことないですけど、あらすじは多少知ってる程度です。楽しく見てきました。
R15+にしてはエロス描写は控えめでしたが、まぁ登場人物たちの行いはどいつもこいつも非道徳的なので、中学生以下お断りなのかもですね。
ジェマボヴァリーの夫だけがかわいそうでしたね。
ジェマボヴァリーの美人すぎないけど官能的な体つき、浅薄さに見とれました。ほとんどマルタンと同じ気分で唾を飲むような気分で見ました。浅はかで欲に忠実な美しき人妻。英国アクセントもいいかんじでした。
絵的に一番大胆なのはコートの下にレースの下着だけで不倫相手に会いに行くところですね。まぁ楽しそうな情事でした。
ハメながら罪悪感に苛まれる、みたいな悲劇に酔った不倫劇は見ててイライラしますが、楽しそうだと嫌悪感が薄いです。
で、不倫相手が、「胸騒ぎの恋人」で男女それぞれから惚れられながらいい加減にあしらった美しき悪魔のニコラ役の役者でした!こんなところで再会出来ましたね、なんかうれしい。ブロンドの巻き毛とタレ目と素敵な肉体で目の保養でした。
法律の勉強をするためにパリから別荘に来た元貴族?のボンボン役でした。ハマってます。
主人公のマルタンジュベールは近所に越してきた英国人のボヴァリー夫人が小説「ボヴァリー夫人」と同じ運命を辿りやしないかとヒヤヒヤして、そしてボヴァリー夫人のエロスにムラムラしてストーキングします。ヒ素入の殺鼠剤に反応しすぎるのは小説のボヴァリー夫人がラストでヒ素で自殺したからなんでしょうね。
自殺されてなるものか!と迷惑な奮闘をするんですが、結局マルタンの作ったパンを喉に詰まらせて現実のボヴァリー夫人は死んじゃうんです。
わーなんてヒドイ話なんだ!でも笑ってしまったやないか!ストーキングすれすれの思慕がこもったパンが、狂気になっちゃった!
マルタンは不倫相手を語った手紙でボヴァリー夫人と不倫相手の仲を裂こうとしたり、犯罪も犯しているわけですが、お目目ひんむいて凝視する表情はいかれているけど可愛くも思え、困ったもんです。
さて、ボヴァリー夫人が亡くなり、また隣の家に新たな住民が来たのですが、マルタンの息子曰く、「ロシア人で姓がカレーニナだよ」とのこと!まさかアンナカレーニナでっか?と、またマルタンのビョーキな暴走が始まる?という場面で終わります。
ちなみに新しい隣人はフランス人夫婦。マルタンの息子がオヤジを騙したんです!
成績悪いとかテレビゲーム禁止とかでイイトコなしだった息子が、最後でやってくれました。
笑ったらあかんのでしょうが、おかしくておかしくて、結構笑いました。
この映画は(も?)性格悪い人むけですね。