「全てが思い通りにはいかないよなー」ラ・ラ・ランド たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
全てが思い通りにはいかないよなー
女優の卵と売れないジャズピアニストの恋愛模様を描くミュージカル映画。
監督・脚本は『グランドピアノ』(脚本のみ)、『セッション』の、若き天才デイミアン・チャゼル。本作で史上最年少のオスカー監督となる。
主人公であるジャズピアニストのセブを演じたのは、『きみに読む物語』『ドライヴ』のライアン・ゴズリング。
ヒロインである女優の卵ミアを、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『バードマン』のエマ・ストーンが演じる。本作によりオスカーを獲得。
セブが働くレストランのオーナー、ビルを演じるのは『セッション』でもチャゼル監督と仕事を共にした、オスカー俳優J・K・シモンズ。
👑受賞歴👑
・第89回 アカデミー賞…美術賞、撮影賞、歌曲賞、作曲賞、監督賞、主演女優賞の六冠を達成‼️‼️❗️
・第74回 ゴールデングローブ賞…脚本賞、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞、作曲賞、主題歌賞の七冠を達成‼️‼️‼️
・第73回 ヴェネツィア国際映画祭…ヴォルピ杯(最優秀女優賞)
・第41回 トロント国際映画祭…ピープルズ・チョイス・アウォード
・第42回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…作曲賞
・第70回 英国アカデミー賞…作曲賞、主演女優賞、撮影賞の三冠を達成‼️
・第82回 ニューヨーク映画批評家協会賞…作品賞
・第22回 放送映画批評家協会賞…作品賞、オリジナル脚本賞の二冠を達成❗️
・第41回 日本アカデミー賞…最優秀外国作品賞
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かつては眩い輝きを放っていた「ジャズ」という音楽。そして「ミュージカル」というジャンルの映画。衰退の一途を辿るこの2つのカルチャーへの、デイミアン・チャゼル監督からのラブレターのような映画でした。
映画中のミュージカル楽曲はどれも楽しく、劇伴音楽も素晴らしい。
ヴィヴィッドなカラーリングのドレスは、LAの青い空や夜の暗闇の中で非常に美しく映えており、視覚を満足させてくれる。
デイミアン・チャゼル監督らしいスマートな映像は本作でも堪能できる。
楽しいミュージカル映画のようでありながら、全体的に影のかかったような暗い印象を受ける画作りになっており、この2人の恋の行方が上手くいかないことが暗示されています。
派手なドレスを身にまといミュージカルを演じるエマ・ストーンは非常にキュート。
どことなく辛気臭い雰囲気を纏っているライアン・ゴズリングとバランスが取れていて良かった。
お洒落でロマンティック。美しい映画であることは間違いないが、お話は凄く退屈。
「男女が出会って恋に落ち、それぞれの夢を追いかけるうちにすれ違いが生じてきて、最終的に別れる」というただこれだけの映画。
個人的にラブ・ロマンスがあまり好きではないということもあるが、たったこれだけの内容なのに128分も上映時間があり、1時間過ぎたあたりから早く終わらんかなー、と思いながら観ていました。
ドラマ的な盛り上がりがない上、先が読める展開なので正直つまらないと感じました。
ただ、クライマックスの「あの時ああしていれば、今頃…」的なパラレル的回想は確かに凄かった。
なるほど、こう来たかー!という感じ。
男なら誰でもこういう妄想をすることがあるよなー、と共感してしまいました。
ラストに2人で見つめ合い、かすかに微笑むという後味の良いエンディングも良かった。
まぁ2人とも夢を叶えたんだから良かったじゃん。全てが思い通りにはいかないよ。
個人的に気に入っているのはライアン・ゴズリングが生活のために加入したバンドが凄えダサかったこと。
いかにデイミアン・チャゼルがジャズ至上主義者かわかる、大衆音楽を馬鹿にしている描写が非常に可笑しかったです(^^)
ちょい役で登場したJ・K・シモンズは『セッション』を観た観客へのファンサービスかな?
『セッション』ではジャズ気狂いだったフレッチャー教授を演じていたが、本作ではそれとは真逆のキャラクターを演じており、監督の遊び心を感じた。
つまらないが良い映画であることは間違いないと思う。
映画館で観ればまた感想が変わったかもしれないが、正直もう一度見ようとは思えないかな…