「☆☆☆☆(恋愛映画として) ☆☆☆★★ (ミュージカルとして) ど...」ラ・ラ・ランド 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆☆(恋愛映画として) ☆☆☆★★ (ミュージカルとして) ど...
☆☆☆☆(恋愛映画として)
☆☆☆★★ (ミュージカルとして)
どうやらどこの劇場も満員に近い状態が続いている様で、暫くしてから観る予定では有ったのですが…。大のミュージカル映画ファンとしては、明日に控えたアカデミー賞を前にすると、居ても立っても居られない状態になってしまい。急遽鑑賞を決める。
しまった! ハードルを上げすぎた_| ̄|○
確かにオープニングは高揚した。素晴らしい撮影だと思う。
でもこの作品を“最高のミュージカル映画”と言われてしまうと…う〜ん!「音楽映画ですよね?」と言うしか無い…と。
作品単品としてなら良作に間違いは無いんですが、映画と言うのは総合芸術の更に上を行かなけれならないジャンルなんです。
何しろ突然音楽が鳴り出し、出演者が踊り出すのですから。
その点で行くと、オープニングから続く女友達とのダンスも良い。2人が夜景をバックに歌い踊り出すのも、まあ悪くは無いとは思う。
但し、往年のハリウッドミュージカルを数多く観て来た人には、果たしてどうなのだろうか?
当時の作品群と比べてしまうと。歌も踊りも正直なところ、かなりレベルは低いと言わざるを得ないかな(._.)
作品中には何本かの過去のハリウッド映画に対するオマージュ的な展開を見せ、観客を飽きさせない様な演出をされている。
中盤からは、お互いがお互いを思いやり。2人共に夢を放棄してしまうのを励まし合う。
それはやがて来るエンディング前の映像マジックに向けての、かなり長い前振りでは有るんですが…。
遂に訪れる映像マジック。正にこの数分間の為だけに作品は集約されていると言って良い。
監督自らが鈴木清順の『東京流れ者』を参考にしたと言うのは、確かに観ていて成る程と思えた。
印象的に繰り返されるメロディー。原色を活かした美術や衣装やセットの数々。それらが観客の心に魔法を浴びせて来る。
夢を夢では終らせてはならない。
全ての人に対して、夢を見続ける事の大切さを教えてくれる。
その意味で言えば、この作品の示す方向性は素晴らしいし、ドラマとしては大変に優れていると言える。
解ります!解りますよ〜!でもですね、あくまでも個人的見解では有りますが、ミュージカル映画に対して私が求めているモノとはちょっと違っていたのです。こちらの気持ちを満足させては貰えなかった。
これだけは、どうにもこうにも個人的な好みになってしまうので如何ともし難い。
ミュージカルにメッセージ的なモノは要らないと…。
あくまでも男女の他愛の無いボーイ・ミーツ・ガールこそが相応しい…のだと。
そのフィールドの中で展開される恋の鞘当て。個人の力量が問われるダンス。(出来ればタップダンスなら嬉しい)最後に意味も無く大掛かりなプロダクションナンバー等。
やはりミュージカルにはミュージカルコメディーで有って欲しい…と。
アカデミー賞取っちゃうんだろうなあ〜。
特に強力なライバルも居なさそうだし。
『シカゴ』の時にも思ったのだけど。過去のハリウッドミュージカル映画の傑作群に対する弔い感覚でいないと辛いよなあ〜。
そうでなければ、『ザッツエンターテイメント』の中で、「最高のミュージカル映画です!」と紹介された『恋の手ほどき』に思わず…。
(´・_・`)ポカ〜ン
としてしまった事が有ったけど…そうなってしまうから。
(2017年2月26日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ/スクリーン8)
再見
やっぱりミュージカルとは思わないけど、大人の恋愛ドラマとして観たら1流だと言わねばならない…と。
渋滞から始まるドラマは、再び渋滞にて始まる運命のドラマに終止符をうつ。
オーディション場面で有ったり。車のクラクションで有ったり…と。同じ様なシュチュエーションの場面を幾つか描く脚本。それらの場面では、前と後ではそれぞれの立場で有ったり。悩みの大きさ・将来への不安・感情の揺れ動き等が微妙に違っている。
この脚本に於ける組み立ては見事だ。
そして何と言ってもオープニングの高揚感と、最後に用意されている映画のマジックに於けるカタルシス。
ここは素直に点数を上げざるを得ないなあ〜…と思い、点数を上げさせて貰いました。
だけど、ミュージカル映画大好き人間としてはどうしても言いたいのだ!
オイラは明るく!楽しく!他愛ないミュージカルコメディーが観たいんだよ〜(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
(2017年3月14日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン8)