「ジャズ・ランド。」ラ・ラ・ランド ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャズ・ランド。
すったもんだのアカデミー賞授賞式で作品賞を取り損ねたものの、
前評判とその他映画賞受賞歴の多さで群を抜くミュージカル作品。
かなりの期待値で劇場に足を運んだ人も多かっただろうと思うが、
鑑賞後の感想は「いい映画」を前提として人それぞれになりそう
だと思った。往年のミュージカルに台頭する場面があり楽しめる
が、個人的には冒頭で「理由なき反抗」そしてジミーのあの台詞、
グリフィス天文台が出てきちゃっただけでもう感涙。展開や内容
は古くても現代仕様なので、過去のMGM全盛時代を知るファン
には物足りない部分もあると思うが、ドライな恋愛面や高らかに
謳い上げないミュージカルに挑戦した意欲を買いたい。まだ弱冠
32歳の俊英監督なんだもの。これでまた稼いで(^^;今後の作品に
期待できる。名作シェルブールの雨傘を思わせるラストの展開は、
二人の目指す夢を考えれば(成功したら)そうなるだろうことが
分かっているので切なさが倍増するが、セブのピアノが醸す場面
で描かれる二人の物語が秀逸の出来。あぁこれぞラ・ラ・ランド
なのだな、と涙が出た。しかし言い換えれば彼らは夢を叶えたの
だから幸福だ。中盤喧嘩のシーンでセブがミアに言い放った一言、
夢を(結婚に向け)諦めて生活面でミアを支えてきたセブの想いが
伝わらずに自身を罵るミアに向けて出てしまった本音は辛かった。
苦しい時代を乗り越えた二人が結ばれるとは限らないのが分かる。
歌にダンスにピアノに猛特訓を積んであれほど完成度の高い演技
をやってのけた主演二人は確かに素晴らしい。ジャズに聴き惚れ
るシーンが満載で蘊蓄も含めこれはジャズ映画だと思えるけれど。
(私はJ・レジェンド結構好きですが…あのバンドはダメですか?)