「エマ・ワトソンの演技を観に行く映画」リグレッション しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
エマ・ワトソンの演技を観に行く映画
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原題「Regression」は心理学の退行療法のこと。
本作では退行療法が、「小道具」としてうまく使われている。
映画としては悪くはない。
父親による娘(エマ・ワトソン)の性虐待事件が起こり、刑事(イーサン・ホーク)が動く。
謎の提示、観客をドキドキさせるシーンがテンポよく登場し、惹きつけられる。
しかし、それ以上に特筆すべきはエマ・ワトソン。
謎が解けたときの彼女の演技は(意外にも)素晴らしい。
ディズニーでイイコちゃん演じているより、こういうほうがいいんじゃないか。
そう、彼女の映画の中の演技が上手くないと本作のプロットは成立しないわけで、その点でも彼女の演技が最大の見ものであると言える。
イーサン・ホークもいいね。前作「しあわせの絵具」の田舎の頑固な(しかし優しい)男もよかったし、いい感じで年を重ねているように思う。
本作のテーマは家族だ。
ラスト、娘への虐待は無実だと分かった後も、娘をかばうために無実の罪を被ろうとする父親の前で、イーサン・ホークはやるせない思いをする。
それは事件の解決ではないからだ。
現実にも、人が精神を病む背景に、家族の問題は大きい。
悪魔よりも家族のほうが人を狂わせる、という結末は苦い。
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