「私はあなたがたが出来ない事をやったのだ」奇蹟がくれた数式 Theo5さんの映画レビュー(感想・評価)
私はあなたがたが出来ない事をやったのだ
天才数学者の話。
偉大なる数学者は私が思うに一番仙人に近い存在なのではないかと思う。
人の人智では決していけない境地へ一番近づく事の出来る特異的な人が数学者というイメージだ。
そんな人智を超えた人間を描くというのはとても難しいと思う。
この映画でもなんとか頑張って、ラマヌジャンという怪物的な存在を描こうとしてるが、全てを描ききっているという風には残念ながら思えない。
ある程度ラマヌジャンの事を以前から知っていた人がいればある程度の理解力が深まるが、全くラマヌジャンを知らない人がいたら、ラマヌジャンの圧倒的な数学力が伝わりにくそうだ。
ポッと出て来た天才があれよあれよと渡英して、大学内の激しい地位や権力争いに巻き込まれているのを見ていると何の映画なんだろうと思うだろう。
それにしては世界でもトップレベルの大学での教授達の人種がどうとかいう偏見で、ちっともラマヌジャンを認めようとしない感じは、いくらの賢人と言えど一枚向いてしまえば、ここまで愚かになるのだよというのは正面から逃げないで描いていて好感が持てて面白かった。
ラマヌジャンの信仰と妻との関係性も中途半端にほとんど詳しく説明されないまま、進んでいくのでこれなら省いても良かったかなと思ってしまった。
もっと幼い頃からどういう風に才能を開花させて、その才能がどう活かされて、認知されていくのかという過程をもっとピックアップして見せて欲しかったなと思うぐらい、ラマヌジャンの言い表せない存在感が魅力的だった。
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