「繊細さを大胆で包む」Dearダニー 君へのうた いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
繊細さを大胆で包む
なかなか観に行けず、やっと鑑賞できた。
ハリウッド特有の最後はハッピーエンドで終わる内容ではあるが、カット割りや編集の小気味よさ等はさすが洗練されている。
歳を取ったアル・パチーノが高田純次に檄似だったのは、少々おかしかったがw
主人公ダニーの人生終盤でのやり残してきたものを探し、それを実行に移す話である。
スターになり、何不自由のない生活を送っていたが誕生日プレゼントに渡された、未送達のジョン・レノンからの手紙を読んで、若い頃の思いがふつふつと甦り、自堕落な人生を変えようと、まずは長年会っていなかった息子との再会を思い立つ。孫の病気に財力にものを言わせ特別な学校に入学させる。しかし、思いもしない息子の病気の発覚。小さい頃に自分と母親を捨てた憎しみを抱きつつ、しかし血が家族というしがらみから抜け出せない。憎しみ抜けない父子の関係が、徐々に変化をしていく。
ダニーの力任せの行動は、しかし愛情過多の裏返し。その向こう見ずなやり方も自分の繊細さを隠すための思いだったのである。
ラスト、息子の検査結果を二人で訊くとき、今までの主治医の受け答えで、ファーストネームで主治医が呼ぶときは幸運な情報が多いという統計をダニーはメモから導き出しそれを息子に伝える。そして、ファーストネームで呼ばれる台詞でfin・・・ そういえばダニーはずっとメモを取っていた。その真面目で律儀な性格さをきちんと演出されていて、その下地がこのラストに結びついているものだと、感心した。
宿泊先のヒルトンホテルの女性従業員との粋なやりとりも又、年齢を重ねた故の洗練された会話術のようで、楽しいラリーであった。
ただ、息子という立場からいうとこういう父親は、実の父親に似ててご免被りたいが。。。(
苦笑)