劇場公開日 2015年6月20日

  • 予告編を見る

「死者の家、絶賛新築中。 [スコア修正]」呪怨 ザ・ファイナル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0死者の家、絶賛新築中。 [スコア修正]

2015年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

今週は『MAD MAX』も含めてなぜか白塗りの怖い人ばかり観てるような気がするのだが、
とにかく『呪怨 ザ・ファイナル』鑑賞。
いつもよりレビュー長めですがご勘弁を。

レビューの前に一言文句。
この映画に限った事じゃないが、ホイホイと『ファイナル』とか『ラスト』とか付けるのはやめて欲しい。
特に前作『~終わりの始まり』は、オリジナルほどではないにしても、最近のJホラーの中では
特に出来が良かったと個人的には思っているので、「折角好リブートだったのにもう終わらせる気?」と不満。
結果的にぜんぜん『ファイナル』じゃないし。
.
.
という訳で前作を気に入っていた自分なのだが
今回の『~ザ・ファイナル』はと言うと……

うーむ、前作よりかなり出来が落ちていると感じるなあ。
監督は前作に引き続き落合正幸なので、そこいらのホラーよりは出来が良いと思うけど、
恐怖演出も、シナリオも、テンポも、総合的に前作より悪くなってる気がする。

まず恐怖演出。
伽椰子の登場シーンで特に顕著だが、恐怖演出がワンパターンになってしまってる。
駅ホームのシーン、ラストの顔アップ、そして新聞受けのシーンは良かったと思う。
だが、それ以外は同じような演出ばかり。登場までのタメも不足してる。

前作でその存在の不可解さと忌まわしさが増した俊雄くんもイマイチだ。
そもそもビジュアル的にはそこまで怖くないしむしろ一歩間違うとギャグなので
彼はあくまで伽椰子さんのアシストに徹するべき(サッカーか)と思うのだが、
今回は前作以上に彼の襲撃シーンが増えている上、
あの病院でのシーンは彼の恐怖を更に緩和してしまっている。
――俊雄を恐怖のメインに据えていなければ、仄かに暖かいあのシーンはすごく好きなのだけど。
.
.
シナリオそしてテンポも不満。

『呪怨』シリーズのシナリオは、複数の登場人物のエピソードを時系列通りに並べずシャッフル
させているのが通例。最後まで観てはじめて物語の全容が推察できる、というスタイルが妙味だった。
だが今回は……時系列操作については、あまり期待しない方が良いと思う。

1つのエピソードに複数のメインキャラが登場するのも違和感。
それだと各エピソードタイトルの意味は薄いしフツーのホラーの構造とほぼ一緒になってしまう。
何より、視点がポンポン変わるせいで、恐怖演出がやたらせわしなくて即物的になってる点は不味い。
1人1人の恐怖をじっくり腰を据えて描くべきだった。

人物の行動に違和感を感じる点もちらほら。
主人公・麻衣の恋人の奏太なんて、てっきり過去の事件と関わりがあると思ったんだけど。
それと彼、どうやって長谷川家を探り当てたんだろ?

もうひとつ。
ホラー映画では、登場人物が誰もいないシーンで怪異が発生するのはある種のルール違反だと思う。
誰を怖がらせようとしてんの?という話。
それは完全に観客のみに向けた演出で、映画内の世界に寄り添ったものではない。
観客に「ああこれは作り物だった」と認識させ、物語からリアリティを失わせる。
(背後から迫る、とかは“気配”の表現なのでOK)
前作は問題無かったが、本作ではそんなシーンが1シーンある。非常に残念。
.
.
だが並のホラーよりは面白い。
良かったと思う点もちゃんとある。

まず平愛梨。大きな眼の女優さんはそもそもホラーとの相性が良いものだが、
彼女はセリフ回しに難はあるものの、いよいよ怪異と遭遇した時の硬直した表情等はかえってリアル。
おのののか演じる玲央とその母親が襲撃されるシーンのあの絶望感はハンパないし、
母娘の『その後』のシーンも、不条理で、狂気的で、恐ろしかった。まさに『死者の家』。
前述だが絵奈と俊雄のシーンも、恐怖演出としてはナシだが好きである。

という訳で、他の方より甘いだろうとは思いつつ、3.5判定。
[修正]ホラー好きなのでどうしても点が甘くなるのだが、もう少し冷静に考えて3.0に修正。

あ、そうそう。映画の評価とは別にしているが……
エンドロール後に衝(笑)撃のティザー予告編があります。それ含めたら1.5くらいにしたい気分。
惨憺たる出来だった『貞子3D』に続き、『呪怨』までカジュアル化して墜とす気か、企画部よ。
誰でもいい。彼らを佐伯家に放り込んでくれないか(笑)。
そりゃ実際の作品を観るまで判断はできないが……Jホラーの未来は明るくない。

<2015.06.20鑑賞>
.
.
.
.
余談1:
Jホラー作品のレビューの度に書くのでいい加減飽きてきたが、中高生の皆さん、お静かに願います。
最近はついに脳内で自動的に雑音遮断できるようになってきてしまったが、
静かに観たい観客の為にお喋りはやめてください。沈黙もホラー映画の大事な一部なんです。

余談2:
鑑賞日の6/20(土)、民放のテレビ静岡で深夜1:50から『呪怨 終わりの始まり』を放映してました。
プロモの一環も兼ねているとは思うが、そんな深夜からあんなホラーを放映するって……テレビ静岡、攻め過ぎ。

浮遊きびなご
昴 晃一郎さんのコメント
2015年7月6日

初めまして!私のレビューへのコメントありがとうございます。
あっちへの返信の仕方がわからないので、こちらへのコメントでの返信ご了承下さい。

浮遊きびなごさんも相当なホラー好きとお見受けしました(笑)
きびなごさんが仰る通り、「怖さ」はモチ必要ではあるんですが、
「凝った」ホラーが大好きです^^

本作に関しては全く同感ですねぇ。
もっと頑張って欲しいです、Jホラー。

『劇場霊』は鑑賞予定ですが、前作?『女優霊』がイマイチだったのでチト不安ではあります^^;

列挙して頂いた映画。私的に評価してるのは
「サイレントヒル」「物体X」は確かに面白かった。
未見なのは

 ディセント
 キャビン
 フッテージ

でした。是非、チェックさせて頂きます。後、列挙し忘れた作品が1つ

 ミスト

これもクトゥルフっぽさが好きです。

それとオマケ予告!あれはもうどうなんでしょう(苦笑)。
企画物としては是非「フレディvsジェイソン」はチェックして下さい。
(既に鑑賞済かもしれませんが・・・)
あれはコメディホラーの傑作です。ピンバッヂ(デザインが秀逸)購入して愛用してます^^;
今思えば周りへの配慮が全然足りない程に1人で大笑いしてました(爆)
(あれは周りからしたら超注意ものと反省してます^^;)

今後も鑑賞映画のレビューは続けていくので、その際はきたんなきご意見お待ちしております。
今後とも宜しくお願いします!

昴 晃一郎