劇場公開日 2015年10月24日

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「お金主義なリュック・ベッソンの大失敗」トランスポーター イグニション Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5お金主義なリュック・ベッソンの大失敗

2016年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

興奮

トランスポーター待望の4作目きました!
プロのスゴ腕な運び屋で、
おなじみのルールは、「契約厳守」
「名前は聞かない」「依頼品は開けない」。
どんな荷物も高額な報酬で、
正確に目的地まで運ぶ。
そんな設定と、
激強なハゲおやじジェイソン・ステイサムのハマりキャラで、
独特の世界観が大好き。

今作もリュック・ベッソンが製作と脚本で、
期待も膨らんじゃう。
けどね、観るまで主人公が変わったの知らなかったんです。(笑)
あれれ、どうなってるんだと。
ポスターでもぱっと見で分からないし、
ずるいよね。そんな人、多かったのでは。

英国人俳優エド・スクレインに交代したのは、
ジェイソン・ステイサムがギャラをふっかけて、
折り合いがつかなかったらしい。
よく広告の世界でもある話だけど、
きっともうやりたくない仕事だったんでしょうね。
ワイスピでも好演してたけど、
イメージがつきすぎるのを嫌ったのかな。
ちなみにエド・スクレインは、
フジロックにもきた有名なラッパーですね。

作品はよくできてて、結構面白いです。
変わった主人公はカッコイイし、
ちょっと弱いけど、
長いリーチを生かしたカンフーっぽいアクションも迫力あり。
フランスを舞台にしたカーアクションも真骨頂。
お約束のアウディS8も、
007同様惚れ惚れする走りっぷりで、
ルノーのパトカーをことごとく蹴散らしていきます。

で新キャラの元スパイな親父も味付けとしては面白いし、
女の子たちも華やかで楽しい。
テンポがよくて、リュック・ベッソン的な御都合主義満載だよ。
主人公は、女に弱くて簡単に契約は破るし、
依頼品は物じゃないし、名前もバレてるわで、
ストーリーにも幅が出てきたなぁ...。

つーか、トランスポーターじゃないじゃんコレ(笑)

もうシリーズ名乗っちゃだめですわ。
ジェイソン・ステイサムで完結して欲しかった。

奴のギャラで揉めちゃったので、新人あてちゃおう。
けどそれじゃ興行的にヒットしないから、
シリーズの続きにしてごまかしちゃおう。
少し重荷だから、新キャラ親父と
ボンドガール的な女の子入れちゃおう!
みたいな製作陣の思惑が見え見えで。

途中からなんか違うぞと、
しらけてきちゃいました。
トランスポーター的な世界観を期待しなきゃ、
エンタメとしてはよくできているんですけどね。
けどここまでのトランスポーターを見ていないと、
設定は唐突かも。
お金のために、
ストーリーどころか、
戦略まで御都合主義にしてしまった、
リュック・ベッソンの大失敗かと。

まぁいい意味でいえば、
ジェイソン・ステイサムの価値を、
再認識させてくれる貴重な映画ですけど。

それから皆さん怒っている、
エンディングのエグザイル。
エーベックスやLDHさんは、
CMタイアップのように軽々しく踏み込んだらだめですよ。
同じエンターテイメント制作として、
作品には敬意をはらわないと。
危険すぎる、逆効果です。

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