「希望と再生の物語」あえかなる部屋 内藤礼と、光たち ジローさんの映画レビュー(感想・評価)
希望と再生の物語
見終えたあと非常に強い物が心に残り、渋谷のギラギラした雑踏を歩くのがキツかった。自分も4人の女性達に混じって、あの大きな空間に一緒にいたみたいだった。隣の女性は後半泣いていたようだ。レビューを見ると、最後の女性達の登場がとってつけたようだと言っている意見が多いが、僕はそう思わない。まず内藤礼を知らないし、興味もなかったからかもしれないが、監督が目指したのは所謂フツーのアートドキュメンタリーでないと察するので、内藤に撮影拒否を受けてからの表現こそ大事だったのではないか。結論を提示しないから混乱するかもしれないが、この社会も結論などなく矛盾はいつまでも続いて行くものだ。そういう現実世界を反映したかったのではないかと勝手に思った。監督の母親が病気である所から始まる物語が、僕に浸食してくるような不思議な作品で、映画の宣伝文句「私が私たちになる」という言葉そのものだと唸った。希望と再生の物語だと思う。
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