「妄想だけが踊るデニザイルとその息子の物語」ロバート・デ・ニーロ エグザイル スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
妄想だけが踊るデニザイルとその息子の物語
とんでもなくダサダサなタイトルなので、これだと相当B級なイメージしか浮かびませんが、見てみたら地味ながら中身は至ってまともな・・・いや、まともではないですが、父と子の一風変わった味のあるヒューマンドラマに仕上がっていたと思いましたよ。
ちなみにこのタイトルなのに主演がロバート・デ・ニーロではなく、息子役のポール・ダノなのがまた何とも・・・いかにも未公開映画って感じのダサいタイトルでしたねぇ(苦笑)
謳い文句も「この男、行き着く先に事件あり」となってますが、いくらなんでもいい加減すぎ。
これだとサスペンス映画のようですが、事件なんて起きませんよ、ちょっとした事故は起きますけど。
ただジャケ写通りタクシードライバーなデ・ニーロ親父の設定は、思わず笑っちゃいましたけどね。
でも見ていたら途中からあまりに切なすぎる状況になりすぎて、笑えなくなりました・・・。
原作はポール・ダノが演じたニック・フリンの自伝的小説みたいなんで、これほとんど実話なんでしょうね。
確かに明日は我が身、いつデ・ニーロ親父のような状況になるか、分からないのが今の世の中ですから、何だか見ていて物凄く切ない気持ちになっちゃいました。
これが親父役がデ・ニーロじゃなかったら、そこまで印象には残らなかった映画なのでしょうが、何せデ・ニーロの哀愁が半端じゃなかったですからね・・・。
しかしそれでいて可愛くない、俺は天才作家だと言い切る俺様状態なホームレス親父でしたので、ニック同様親父の言動に本当にイライラさせられましたよ。
そんな父親を見つつ、落ちそうになりながらも再生していったニックの物語、変わろうとした男と、変わらない男、でも優しいラストにちょっとほっこり、まあ全面的に感情移入することは出来ませんでしたが、何かと考えさせられることも多く、思いのほか見応えを感じられた作品でした。
デ・ニーロとポール・ダノの演技は、本当に見事でしたね。
それとニックの彼女役のオリビア・サールビーが、何気に可愛かった!