「♪顔で笑って腹で泣く 腹で泣く」国際市場で逢いましょう 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
♪顔で笑って腹で泣く 腹で泣く
朝鮮戦争時、父と妹と生き別れたドクスは母と幼い弟妹と共に、叔母のいる釜山・国際市場に身を寄せる。父に代わり家長として家族を支え、激動の時代を駆け抜ける。笑顔と家族への愛情を絶やさずに…。
韓国で歴代2位となる大ヒット。
邦画で例えるなら「ALWAYS」、ハリウッドで例えるなら「フォレスト・ガンプ」。
評判に違わぬ感動作!
バカが付くほど直向きな主人公。
弟の学費を稼ぐ為、ドイツの炭鉱へ。
妹の結婚費用と叔母の店を買い取る資金を稼ぐ為、今度は技術者としてベトナムへ。
何度も命の危険にさらされる。(2~3度死んでもおかしくないほど)
何故ここまで命を張れる?
言うまでもなく、家族の為。
その無償の行動の源には、あるトラウマが。
朝鮮戦争時、妹の手を離してしまった。妹を探すべく別れた父ともそれきり。
あの時、守れなかった。
悔やんでも悔やみ切れない。
だから、残された家族は自分が守る。
主人公の姿に心揺さぶられる。
新生活を始めた時は、叔父叔母含め6人。
ドイツで出会った同胞女性と結婚。
弟も妹も結婚。
一人一人、家族が増えていく。
貧しかった生活も、それなりに満ち足りたものに。
培ってきた、守ってきた証。
唯一の悔いは、例のトラウマ。
が、そんな彼に奇跡が…。
目頭熱くなり、涙腺弱い方はハンカチのご用意を。
映画は老境となった主人公の回想形式。
あんなに人懐こかった主人公は、頑固ジジイに。
開発進む国際市場で店の退去命令に頑なに反対する理由、そしてタイトルの意味も明かされる。
「新しき世界」の狂犬ぶりとは180度違う、愛情たっぷりの優しさ。
ファン・ジョンミンの名演を見ているだけで胸が熱くなる。
(東方神起のメンバー一人の映画デビューとかで話題になったらしいが、全く興味ない者としては何のこっちゃ…)
韓国の実在の有名人のリンクネタや、韓国人特有の性格、韓国史なども挿入され、日本人にはちょっとピンと来ない点もあるが、それを差し引いてもこの物語には魅了される。
ラスト、主人公の本音がポロリ。
「男はつらいよ」の主題歌の一節が浮かんだ。
♪顔で笑って腹で泣く