劇場公開日 2015年10月24日

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ディアーディアーのレビュー・感想・評価

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4.0田舎の閉塞感をスタンダードサイズで

2018年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

スタンダードサイズの映画なのだが、スタンダードの画角の狭さが非常に作品内容とマッチしている。田舎の閉塞感が描かれた作品だが、画角からして閉塞的だ。

幻の両毛シカを見つけた三兄妹が、大人になってもどうにもならない鬱屈観を抱えて故郷で再会する。シカを確かに見たのだが、結局それは証明されず、以降3人はギクシャクし続けていた。バラバラの人生を歩んだ3人は、父の危篤をきっかけに再び集まるが、田舎の狭い人間関係の窮屈さと昔の恥が重なり衝突ばかり。大人になっても大人になりきれない3人はぶつかり合い、ちょっと和解する。

次男役の斉藤陽一郎がすごく良い。もうベテランのはずなのに、いまだに若手っぽい芝居ができるのが凄い。良い意味で若手っぽいのだ。長男役の桐生コウジは製作も兼ねているが、枯れた味わいがよく似合ういぶし銀な俳優だ。妹役の中村ゆりもとても良い。

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杉本穂高

2.5結局何も起こってない話

2020年3月21日
スマートフォンから投稿

笑える

序盤はとても面白かった。キャラクターを観察させるタイプの演出で、ユーモアも良くて、それぞれの痛みが伝わってくるようで。
描かれている舞台も住職がネットワークビジネスやってたり土建屋から賄賂もらってたりと面白い。

なのに、後半はなんか結局どうでも良い話に落ちてしまっていたように思う。結局強盗にしろ妹の不倫にしろ、後戻りができない話にはなっていかないし、斉藤陽一郎はいい加減独りよがりでウザいし笑。群像劇という形式に寄りかかりすぎたのだろうか。長男が染谷くん殺すくらいやってくれないと終われない気がした。

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ニックル

3.5ちゃんとした映画

2020年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

鹿をきっかけにアイデンティティがなくなった、というテーマがいい。田舎の世間が狭い感もリアル。3人が自分を取り戻すにはやっぱ鹿だったのね。

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いつこ

3.5田舎の現実を肌に感じる作品。

2018年8月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

田舎の鬱屈した空気感を上手く表現されているなぁと思いました。限界集落とまでいかない中途半端な田舎が舞台なところが特に現実性があって良かった…。
田舎の綺麗な自然とか、都市化されすぎていない風景とか、もちろん田舎っていいなぁと思う場面も所々あります。
しかし、それと同じくらいに、いつまでも親のことを引っ張ってきたり、昔の記憶を掘り出してきたりする田舎の世間の狭さを痛感して、、、田舎の嫌な所もしっかりと露呈されていたと思います。ちょっとしたことで浮き足立って町全体で囃し立てるくせに、違うとなると手のひらを返したように村八分にするような、そういうところあるよなぁ〜って思いました。都会に出たからといって成功はしないし、田舎に残っても代わり映えのない生活。人間無い物ねだりだし、人生上手くいかないよなぁって改めて思いました。前編栃木の某所で撮影されていたほど、予算的にはそれほど大掛かりな作品ではないとは思いますが、観て良かったなぁと思います。田舎出身は観るべきだなぁと。
菊地凛子さん、染谷将太くんの友情出演も良かったです。

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野

4.0どん詰まり人生、まずは過去と向き合うことが大事なのかな

2017年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

めちゃくちゃ面白いと言うようなタイプの映画では無かったですが、地味ぃ~に面白かったです。
上手くいかないことがあれば、必ず何かのせいにしたくなる典型的なダメな大人の物語、でも、どこかしら自分にもある要素だったりしたので、みっともないけど何か分かるな~と思えてきたりで、まあ愛おしいとまでは言えなかったですが、見ていて妙に愛着が湧いてきちゃう三兄妹の物語でしたね。
栃木?の田舎町が舞台だったこともあってか、田舎あるあるな部分も田舎出身な自分には結構ツボな要素でした。
まあいまいち掴みどころのない映画ではありましたけど、その掴みどころの無さやどこに向かうのか分からない的な部分も含めて、地味に楽しませてもらいましたよ。

しかし兄弟(兄妹)って、何で同じ親から生まれたのに、こうも違う性格に育つものなんでしょうかね。
私も兄と真逆の性格なんで、仲が悪い訳ではないのですが、何かと衝突することもあったりしたので、劇中のそれぞれの想いが爆発するシーンなんかは全く他人事には思えず、見ていて変な汗をかいてしまいましたよ・・・。
子供の頃からの蓄積された不満が、きっとどこかに溜まっていたりするんでしょうね、その辺の表し方がとにかく秀逸な映画だったなと思いました。
また何かのせいにして生きてきたダメ人間な三兄妹だっただけに、その鬱屈度も半端じゃなくて、見ていてホント痛々しかったぁ~、でも単純に笑うことは出来なかったです、明日は我が身かもしれないって感じで・・・。

まあ難点としては、それぞれの抱えた問題と言うか、これまでの生き様の描き方が、もう一声欲しかった印象かなと。
それと鹿で人生を狂わされた3人でしたが、その関連性も次男以外あまり感じれずだったので、カギを握る鹿の一幕も、もう一つグッと来なかったりで・・・。
まあ鹿に人生狂わされなくても、この三兄妹はきっと他のことでうまくいかなかったのは明白でしたが、そんな彼らにもほんのりと希望の見える展開に持っていく辺りは、物語の根底に優しさが溢れていて、私的には地味に好きな話でしたね。

また三兄妹を演じた桐生コウジ、斉藤陽一郎、中村ゆりの演技もお見事の一言でした、特に軽い精神病を患っている次男を演じた斉藤陽一郎の演技には何かとイラっとさせられたなぁ。
一方、中村ゆりの美しさには思わずハッとさせられました、衣装のせいもあるのでしょうが妙にエロかった、この容姿でも人生うまくいかないのですから、世の中ってホント難しい・・・。
それから染谷将太&菊地凛子夫妻が友情出演で参加していましたね、菊池凛子の方はチョイ役でしたが、染谷将太は意外と出番が多く、しかもその役どころがなかなかの・・・ある意味その辺りもお楽しみ要素な作品だったでしょうかね。

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スペランカー

3.5面白かった。 もシカして面白いかもと思ったが、 たシカに面白かった...

2015年12月21日
iPhoneアプリから投稿

面白かった。
もシカして面白いかもと思ったが、
たシカに面白かった。
シカし、桐生コウジはよくディアーディアーを作ったな。予告編も面白い。

シカでおかしくなって行く3人。でもこれはシカが象徴であって、地方都市を舞台とした、ありそうだなあと思わせるけどよくできたストーリー。地味だけど、いい。
フライス盤とか出てて、工場の描き方も好き。

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SUZUKI TOMONORI

3.0故郷と過去への甘え

2015年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

観たいと思っていながら、なかなか劇場へ足を運べずに結局上映最終日になってしまった。レイトショーで細々とやっていて、席には余裕があるだろうと予測していたが、場内は満席だった。
最終日ということもあってか、また、上映後のスタッフ・キャストの舞台挨拶もあってか、関係者と思しき人も少なからず。
とは言え、大半は私のような一般的な映画好きの観客で、このような小品への関心を持つ映画ファンが、テアトル新宿を埋めるくらいには東京に生息することが分かった。
寂れた地方都市での生活は経済的に恵まれているとは言えない。経済的な豊かさや華やかさを求め東京へと出て行った者がその地元へ帰ってきたとき、その土地に残った人々の彼らに対する眼差しはひどく居心地の悪いものである。
東京に行ったことで人生の問題が解決されるわけでもなく、ましてマスメディアでもてはやされるような職業や経済的成功をつかむ者はほんの一握りである。しかし、地方にいる者が東京へ行った者へ、期待し、嫉妬し、そして、その失敗を知って安心したいという地元の人間の欲望が、ときに帰ってきた者の故郷への失望につながる。
しかし一方で、自分の今の境遇の原点をその地元に求めたい気持ちがあることも確かで、東京で大成しなかった者にとってはその原因を、現在の自分ではなく過去の人間に求めるという人の弱さがある。「ぜんぶ、シカのせいだ。」ということにしたくなる弱さである。
この作品は、笑いとサスペンスを織り交ぜながら、故郷への失望と甘えをスクリーンに表現している。これは、おそらく今の日本の地方が抱える精神的な問題点を鋭く突いているのではないだろうか。人が親や子供時代の出来事への甘えを断つことでしか自立できないのと同じく、地方の東京からの自立と精神的な豊かさも、こうした甘えを克服することにかかっているのではないだろうか。三人それぞれが、別の道を進み始めるラストにはそうした希望が見て取れた。

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佐分 利信