「わからない」アンジェリカの微笑み マッターホルンさんの映画レビュー(感想・評価)
わからない
どうにも理解できない内容で、多分ヨーロッパ文化特有の、宗教つまりキリスト教とか、民族の歴史が関わって来るのだろうな、と推測するものの、よくわからない。
音楽は言うまでもなくショパンが雨模様のポルトガルを、美しく飾るが、その他の風景は、典型的なポルトガルの町並みを写し出し、それ以上美しく見せようとはしていない。
アンジェリカも当然美しいが、それは死者としての美しさであって、物語をぐいぐい引っ張る人を狂わすほどの狂気の美女としては監督はとっていないと思う。
そして、下宿での人々の会話はどうもすべてが比喩的なのだけど、一体なんの話をしているのか、さっぱりわからない。
考えても答えが出てこず、たまらず日本人の映画評論家みたいな人のブログで確認したけど、この監督の底力を感じさせる静かだけど強烈な映画、とかそんな内容で、何がどうとは全く触れられておらず。
たどり着いたマノエル監督の経歴のなかで、アートと宗教は切り離せない、そして、自分は宗教に深く影響されている、とある。なるほど、これですべて解決するわけではないが、私なりの見方がわかってきた。
つい最近、キリスト教には必ずシンボルがあると知った。例えば鳩、は精霊。
映画でははじめから鳥がイサクを見つめる。
そして、ユダヤ人のイサク。
そして、アンジェリカの最後は被昇天のマリアのよう。つまり、、、
監督の母国ポルトガルはマリア信仰のカトリック。だから?浅い宗教知識では読みきれない。だけど、監督は現代の世の中は環境が汚染され、宗教対立が著しく、ソドムとゴモラに言及している箇所もあった。だから、この映画は単純に美しいとか、幻想的という以上に死と生命の物語なのだろう。だけど、悲しいかな、なんとか理解したつもりの、やはりわからない映画であった。
見て良かった、それは素直に思う。見てから頭から離れないもの。