「フォロウ・ザ・ビューティフル・ライン」X-ミッション 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
フォロウ・ザ・ビューティフル・ライン
『Xミッション』というエクストリーム(極限)に
ダサい邦題を付けられた本作だが、いちおう
キャスリン・ビグロー監督&キアヌ・リーヴス主演の
アクションドラマ『ハート・ブルー』のリメイク作。
正直オリジナルはほとんど覚えてないんだけど、
「犯罪アクションというよりは青春ドラマに近い、
良い映画だった」という印象だけはある。
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オリジナルはサーフィン主体の展開だったが、本作では
CGナシのガチのエクストリームスポーツに変換して大幅増強。
サーフィンだけでなく、モトクロス・スカイダイビング・
ウィングスーツ・スノウボードにフリークライミング
となんでもござれ。
トップアスリート達が行ったというこれらのシーンは
流石の迫力。サーフィンの波の荒々しい美しさは良いし、
話題となっていたウィングスーツのシーンもぞわぞわするし、
どれもこれも『生身の人間がここまでできるの!』
とビビる映像ばかりだし、ロケーションがこれまた美しいこと!
まあ、僕は水泳は得意だが、陸の上でやるスポーツは
ひとつも人並みにできないウルトラ運動オンチなので、
本作のアクションがどれくらいスゴいのかは
実際やられてる方々の半分も理解できてないと思うケド。
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オリンピックに出たら金メダル取りすぎて逆にドン引き
されそうな主人公たちだが、まあそれは彼らの目的ではない。
「大いなる自然と同化せよ、その美しいラインに乗れ」
というような事をリーダー・ボーディは繰り返し言っていた。
ボーディ率いる一団の目的は、
エクストリームスポーツの先駆者オザキが提唱した
8つの修練を乗り越え、自然と一体化すること。
同時に、人間によって破壊された自然を救うこと。
彼らの行う強盗や破壊行為は、自然への『返礼』であり、
自然を破壊して金儲けしてる連中が搾取したものを
自然に還す為の行為だという。
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……あのぅ……先にも書いた通り、
オリジナルの内容はほぼ覚えてないんだけど……
こんなにメンドクサい動機でしたっけ……。
その上彼らは、大義の為なら人殺しも辞さない。
師匠のオザキが捕鯨船に衝突されて死んだとはいえ、
やっぱり彼らは危険思想の集団にしか思えない訳で、
僕には彼らにシンパシーを覚えることが難しいどころか、
はっきり言うと『さっさととっ捕まればいいのに』
と思いながら観ていた。
(ちなみにオリジナルの場合、ボーディ一味は死人
を出さないよう犯罪を行っていたが、初めて殺人
を犯して大きく動揺する様子が描かれていた記憶)
ボーディがあの大富豪に引っ付いてた理由も結局
投げっぱなしで終わるし、ヒロイン・サムサラの
存在感も中途半端だし、主人公ユタも、なんだろ、
色々と身勝手だし、なんか重苦しい。
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アクションについては光る部分は多いのだけど
(書き忘れてたが銀行での銃撃戦もなかなかの迫力)、
ストーリーやキャラクターがやけに胃もたれする感じで
あまり爽快な気分にはなれなかったというのが結論。
ああ、それと、エンドロールが異常に長かった(笑)。
『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』並の長さ。
メディック(救護班)と各国ロケ班の数が尋常じゃない。
やっぱ撮るの大変だったんだねえ。
<2016.02.20鑑賞>
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余談:
キアヌ版でもあった絶叫&空中バンバンシーンが
あったのでニヤリ、というか苦笑い。その瞬間まで
リメイクだってこと忘れてました。