「インファナル・アフェアー×デパーティッド」リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン ごいんきょさんの映画レビュー(感想・評価)
インファナル・アフェアー×デパーティッド
「インファナル・アフェアー(無間道)」のアンドリュー・ラウ(劉偉強)監督と、そのハリウッド版 "The Departed" を監督したマーティン・スコセッシがタッグを組んだとあっては見に行かないわけにはいかない。映画は期待にたがわず香港の黒社会映画とスコセッシのマフィア映画のよいところをあわせもった作品に仕上がっていた。そしてその理不尽なまでの暴力描写は、よりスコセッシの世界に近いものを感じさせる強烈なものだった。
蛇頭snake headによる違法移民がさかんだった1980年代、中国からアメリカにやってきた二人の子どもが主人公だ。彼らは子どもながらに食堂の皿洗いをしながら厳しい生活を送っていたが、否応なく地域の黒社会に取り込まれていく。彼らはその組織green dragon青龍幫の中で暴力にそまりのし上がっていくのだが、対立組織white tiger白虎幫との抗争にも巻き込まれていく。
組織の中に組み込まれ、その中でのし上がっていこうとする暴力的な少年スティーヴンをケヴィン・ウー吳凱文、黒社会のやり方になじめないまま、疑問を抱きながらも力をつけていくサニーをジャスティン・チョン全智泰が魅力的に演じている。
衝撃のラストシーンまで一瞬も気を抜けない引き締まった演出と、スコセッシ世界特有の執拗なまでの暴力。深みを感じさせる登場人物それぞれの描き方。香港映画とスコセッシ作品のよいところをミックスした上質な映画だった。
監督 アンドリュー・ラウ劉偉強、アンドリュー・ロー盧弘軒
2014年 アメリカ・香港映画
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