「重い映画ではあるが」バトル・オブ・ライジング ビン棒さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重い映画ではあるが

2024年1月21日
PCから投稿

気分的にはハッピーエンドを見たかったのだが、
1810年の小説『ミヒャエル・コールハース』を元にした作品であり、
小説自体が16世紀に実在したザクセンの体制反逆者の事を書いているよう
なので、全体的に理不尽で暗鬱とした雰囲気であるのはしょうがない。

それにしても本作品は非常に丁寧に、時代背景に実に忠実に作られていて
制作側のこだわりと誠実さが窺える。
N○Kの時代劇などはすぐに 現代風にアレンジして、髷をオールバック風
に改変したり、庶民にまで履物を履かせたりしているが、この映画では
ハエは飛び回るし、馬小屋は汚いし、服は汚れ、裸足で歩き回っている。
これが当時の暮らしなんだろうと、感じさせる。

正義を貫き、自身をも法に従って裁かれたという結末なんだが、
反乱者の末路としてあり得べき幕引きとして、体制側そして協会への配慮が
あったのではと思えてならない。にしても男爵への因果応報として極刑と
ならないのは極めて消化不良。旧約聖書も目には目をとあったはずなんだけど…。

さて映画はセリフが極端に少なく、説明的な描写も少ない。
なによりシーンのつなぎ方が唐突なために、展開に追いつき辛い場面が
何度となくあった。
カットする際に切り過ぎたせいで 分かり難くはなっているが、骨太の
いい映画だと思う。

ビン棒