劇場公開日 2015年10月3日

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「愛こそ全て」パパが遺した物語 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛こそ全て

2015年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

「幸せのちから」で父と息子の絆を描いたガブリエレ・ムッチーノ監督が、ニューヨークを舞台に小説家の父とその娘の愛を、娘が幼い頃と成人した現在とを交互に描いて浮き彫りにしていく。
幼い頃に事故で母を亡くしたケイティ・ディヴィスは、有名な小説家である父・ジェイク・ディヴィスと共に心に傷を負いながら、仲睦まじく暮らしていた。
ところが事故の後遺症を抱えた父に様々な暗雲が垂れ込め、追い詰められていく。
少女時代から25年後の現在、大学院で心理学を研究し、家庭に恵まれない子供たちの精神的ケアをするソーシャルワーカーもしているケイティだが、彼女自身が事故に端を発したトラウマに苦しめられている。
そのトラウマは、人を愛することが出来ないということ。
そんな彼女に、父の大ファンだという青年・キャメロンが現れ、彼女に変化をもたらしていく。
キャメロンは作家を志望していることもあり、どこか彼女の父の面影を偲ばせる。
この青年との触れ合いのなかで、幼い頃の父との日々を思い出し、如何に自分が愛されていたかに気付いていく。
蘇った父の愛が彼女の背中を押すようにして、愛することの素晴らしさを目覚めさせていく。
主演のラッセル・クロウは、娘を深く愛しながらも人生に不器用な父を、そして幼い頃のケイティを演じたカイリー・ロジャーズはその切ないまでの可憐さで観客の心を掴み、成人した彼女を演じたアマンダ・サイフリッドは、トラウマに苦しむ彼女の心を繊細に演じていて、この3人の素晴らしい演技のアンサンブルが心を揺さぶらずにはいられない。
本作は一組の父と娘のストーリーではあるが、娘を愛する父親たち、父親から愛情を注がれた娘たちに捧ぐ普遍的な物語だと思う。

玉川上水の亀