劇場公開日 2015年5月23日

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「岡本喜八監督をプロデューサーとして支え続けてきた妻、中みね子さん脚...」ゆずり葉の頃 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0岡本喜八監督をプロデューサーとして支え続けてきた妻、中みね子さん脚...

2015年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

岡本喜八監督をプロデューサーとして支え続けてきた妻、中みね子さん脚本・初監督作品です。中姓は、みね子さんが脚本家を目指していた頃の名で、旧姓のようですね。

企画段階から関わった主役の八千草薫さんは、なんと84歳。
可愛くてゆったーりとしてて、お上品です。
最初は岩波ホール1館だけの公開だったのですが、平日でも500人を越すシルバー世代が詰めかけるという噂は聞いておりました。
私が観た映画館も、両親世代の方でほぼ満席でした。
映画は見る方の知識、経験、精神状態が評価に大きく影響すると思います。
なので、まだまだ未熟者の私は、的外れなことを言ってしまうかもしれません。
が、思いつくままに言ってしまいます!

(海外の)作家名が思い出せないのですが、目に入るものを全て描写していくことで、逆に非現実感を醸し出すという小説の技巧があって、日本だと小川洋子せんせがちょっとそんな感じです。
本作の登場人物は全員、正直に真っ直ぐに自分の気持ちを美しい日本語で表現します。
みんな優しくて親切で、他人に手を差し伸べることを躊躇しません。
しかも語る言葉は全部、達観した別次元から降ってきます。
悟り切った善人ばかり。
人生に迷い、苦悩している最中の人はいません。
全てを語ることで、逆に漂う非現実感。
神社の中のミステリアスな湧き水に伝わる龍神の話と、70年以上も貫き通した初恋もプラスされ、私には本作はファンタジーに思えました。
予告の印象から、美しい映像と山下洋輔さんのピアノで、動体視力が衰えた私もゆったりとした時間を過ごせるかな?と想像していたのですが……。
時折、美しい風景が激しく揺れ、動き、歪みます。
年を重ねることによって、見えてくる世界は違うと思いますが、84歳の見る風景はこんなに不安定だということなのでしょうか?
ちょっと、酔ってしまいました。

そして、仲代達矢さん82歳。
老いても尚、男を感じます。凄いです。
オルゴール曲で八千草さんと仲代さんが踊るシーンは、もの凄く艶めかしかった。
40オーバーの私ですが、初めてです。映画見ながら、両手で顔を覆ったの。
あ、ただ踊ってるだけですよ。その後も、別にいやらしいシーンではありません。
でも、今まで観たどんなラブシーンより、エロティックだったんです。
ちょっと周りを見渡したら、人生の先輩方は平然と画面を見つめてらっしゃいました。
いやはや、私もまだまだ未熟ですね!
あ、未熟者の感想としては、もっと台詞は少なく、軽井沢の美しい田舎の風景(わざわざ軽井沢で撮影してるので)と、井上洋輔さんのピアノを聞いていたかったです。

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さぽ太