劇場公開日 2015年8月8日

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「1945年8月15日の真実」日本のいちばん長い日 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.01945年8月15日の真実

2023年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

天皇の生の声と姿。宮城事件とは?
78回目の終戦の日8月15日も過ぎてしまいましたが、
「日本のいちばん長い日」を観ました。
本木雅弘が昭和天皇を演じていて、口調も声も昭和天皇によく似ていて
感慨深いものでした。
でもこれほど鎮痛なお顔をなさったのでしょうか?
私の知る昭和天皇は無表情で時々ニコッとされる印象です。
1945年に昭和天皇は44歳。
日本が1945年の8月14日~8月15日正午を迎えて
敗戦を告げる玉音放送までの24時間をドキュメンタリータッチで
描いています。
広島・長崎に新型爆弾を投下されて7月末にポツダム宣言を受けて、
受諾するかを鈴木貫太郎総理大臣(山崎努)と阿南惟幾(役所広司)など
内閣閣僚が討議するも賛否が分かれる。
天皇は「これ以上の犠牲は避けたい」と説くが、阿南惟幾他陸軍は
「本土決戦派」
しかし丸2日間討議の末ポツダム宣言の受諾を決めて
天皇の生声の敗戦の知らせ(玉音)を15日未明に録音。
12時間後にはそれを全国放送して敗戦を国民に伝えるとの
流れは出来た。

私は「宮城事件」をはじめて知りました。
それもその筈=教科書にも載らない事件で、
宮城は「きゅうじょう」と読みます。
当時は皇居のことを宮城(きゅうじょう)と言っています。

陸軍将校4名を中心に敗戦を受け入れずに「本土決戦」を
行うべきと考える畑中健二陸軍少佐(松坂桃李)他は、
森近衞第一師団長を殺害して玉音放送テープを奪って敗戦を
覆そうと奔走するも失敗して自害した。
これが宮城事件です。
(畑中健二は実名です)
畑中などに計画性や組織力が欠けており大きなうねりにはならなかった。
陸軍には「2000万人を犠牲にすれば勝利出来る」
と信じる者が多くいてまともな精神や判断力ではなかったようです。
総理大臣の鈴木貫太郎は落ち着き冷静で、
「戦争を終わらせる事は、始める事の何十倍も難しい・・・」
と実務的に敗戦に向けて事務処理に奔走。
山崎努は鈴木の飄々とした様子を本人そっくりに演じた。
阿南惟幾役の役所広司。
死を覚悟しており、決起を促す部下に
「俺を殺してから反乱を起こせ!!」
と一喝する。
この映画を観て、敗戦への道筋が良く分りました。
やはり8月15日に密着した臨場感は迫ってくるものが凄かった。
この後は「東京裁判」を観るべきなのですが、4時間超えの大作。
配信でも見当たりません。
ただポツダム宣言を受諾して戦争責任を負うことで、
東條英機などA級戦犯7名が死刑執行され、
それよりもっと驚いたのはB級C級の戦犯5600名が世界中で逮捕され、
日本、上海、シンガポール、マニラなどで1000名が処刑されたとの事。
この事実は重い。
罪無き原子爆弾の被害者たち。
240万人~310万人とされる戦没者。
それを招いたのは《戦争》
(今また世界はロシアとウクライナの戦争で平和が脅かされている)

戦争による多くの犠牲を私たちは
《決して忘れてはならない》
そう思いました。

琥珀糖
CBさんのコメント
2023年8月29日

夏、ですね〜
うら寂しい方の夏。狂ったようなセミの鳴き声、の方ですね。
> 敗戦への道筋が、よくわかりました
> 「東京裁判」を観るべきですが
同感です。俺も、また、観ていませんが。

夏の終わりに、静かに考えさせてくれるレビュー、素晴らしかったです。

CB