「若者が知るべきこと」日本のいちばん長い日 由由さんの映画レビュー(感想・評価)
若者が知るべきこと
私は戦後生まれで、岡本監督の同名映画を観たことがなく、この映画に描かれた出来事についても、ほとんど知らなかった。
この映画で、軍部の暴走や、他国からの攻撃の状況を観て、やはり戦争は絶対にしてはいけないと、改めて思った。戦争を経験していないたくさんの若者が観るべき映画だと思う。
戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい、というのがとてもよく分かった。自己を主張するひたむきさだけではなく、たくさんの人の、思慮深さや、自己犠牲、誠実さ、勇気、覚悟が必要だった。それがあったから、今日の平和があるのだと思うと、今の若い人が、当時のことをもっと知らなければいけないと思った。
勝つと信じることと、実際に勝つこととは、全く違う。政治は、正確な情報に基づく、客観的で理論的な判断をしなければならないと思う。
この映画を観ると、難しくてわからなかった部分もあるので、パンフレットは読み応えがある。ただ、映画は、登場人物が多すぎて、誰が誰だったか分からないところがあった。
しかし、この映画の主要な登場人物は、それぞれ個性があり魅力的で、自然で、惹きつけられた。鈴木首相は、あまり表情を変えないのに、機嫌の良し悪しが伝わってくるようで、たくさんの経験をしてきた懐の大きさや、飄々としていてユーモアもある感じが、魅力的だった。
阿南大臣は、実直さから部下に慕われ、家族を大切にする姿や、板挟みになり、死を覚悟しながら苦悩する姿などが、人柄を現していた。
迫水氏は、すごく若々しく見え、知性と未来が感じられた。
畑中少佐は、若いエネルギーがあった。
鈴木首相と阿南大臣の家族が出てくることで、政治の背景にある大切な生活の姿を感じた。