「飯テロではない。文化(料理)と産業(農業)を語る映画だ!」ステーキ・レボリューション 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
飯テロではない。文化(料理)と産業(農業)を語る映画だ!
世界一おいしいステーキを探すために、20カ国、200軒以上のステーキハウスをめぐる旅を追ったドキュメンタリー。スペインのサン・セバスチャン国際映画祭キュリナリー部門(食・ガストロノミーをテーマとした作品)正式出品作品。
唾液が出まくるような、ステーキ料理の連続と思うと間違いです。最初私も、そんな映像の連続の“飯テロ”作品かと思っていたんですが違いました。国に依る牛の品種や品種による味の違い、国に依る調理の違いなど、もっと奥深い“文化”を探る作品です。そう言う意味では、“飯テロ”を期待する人には退屈かも。
日本も登場します。鎌倉の精肉店(萩原精肉店)、神戸の精肉店、神戸の畜産家、松阪の畜産家、築地のステーキ店(築地さとう)。ちなみに、日本のステーキは3位でした。フランス人の口に、日本のさしの入った霜降り肉は合うようです。
そのことと合わせて、初めて知ったのですが、アメリカはわかりませんが、ヨーロッパでは意外にさしの入った、日本で好まれるような牛肉が好まれているということ。そのためか、スウェーデンには、『和牛』を飼育する畜産業者も居るほどです。『和牛』と『』付きで記したのは、厳密には、和牛の胚と乳牛の交配種だから。まぁ、それでもさしが入るという和牛の特徴は生きているようで、中々の高値で取引されているようでした。
そこで思ったのが、日本の農業・畜産業も、もっと海外に出ていくべきであるということ。「TPPが大筋合意」と言う事に対して、農業関係者が「怒り心頭」みたいですが、それはあまりにも近視眼的なんじゃないですかね?上記のスウェーデンの和牛畜産家も、大学はスウェーデン王立工科大学で物理を修め、スイスでMBAを取得し、畜産業の他に投資銀行を経営するなどしている様な人。見た目、完全に投資家・経営者です。その意味で、スウェーデンの例では、和牛の生育は完全に産業化されているんですよね。そんな人が居るほどヨーロッパで『和牛』が好まれているんですから、ほんとうの和牛が出て行く余地は十分にあると思います。日本でも、徹底的なコストダウンを行って畜産を産業化して“経営”出来る様にすれば、「TPP恐るるに足らず」だと思うんですけどねぇ。