「話もミステリーも業火の中に焼かれたんだろうね…」名探偵コナン 業火の向日葵 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
話もミステリーも業火の中に焼かれたんだろうね…
2015年公開のシリーズ19作目。
公開時はシリーズ最大のヒットになった。(翌年あっさり抜かれたが)
ゴッホが描いた7枚の「ひまわり」。戦時中日本で焼失したと思われていたその内の一枚が海外で発見され、オークションで鈴木財閥が落札、7枚を集めた展覧会の開催を宣言。日本へ輸送中、怪盗キッドが襲撃し…。
宝石専門のキッドが絵画を狙い、人命を奪うかのような犯行。
「ひまわり」に隠された謎とは…
“アートミステリー”と銘打っているが、いわゆる「ひまわり」にまつわる興味深い逸話はさらりと触れられるだけで、後は正直他愛もない真相。
海外でのある殺人事件とか、「ひまわり」を涙して見る老婦人とか、ほとんど“ミステリー”には関与せず。
って言うか、唐突な真犯人の動機に呆気に取られ…。
やはり本作もミステリーは脇に追いやられ、キャラやアクションありき。
コナンがあまり好きでない理由にコナンのキザなキャラが好きになれないからであるが、もう一人、似たキャラが。言うまでもなく、キッド。
キッドが登場すると、コナンとキッドのキザ対決が始まるので、自分的には結構げんなり。
今回別人のような犯行のキッドだが、すぐ察しは付く。
(そういや、もう一人キザな奴居たね、平次ってのが…)
爆発が起こった飛行機からダイブする“新一”。
頑丈な壁を素手で破壊する蘭。
トンデモアクションはいつもながら。
ドライなチャーリーがちょっと目立ったくらいで“七人の侍”は役立たず。
小五郎のおっちゃんも目暮警部も阿笠博士も単なる顔出し。
ただキッドのカッコイイ活躍を描きたいだけ…でも最後はちゃんとヒロイックなシーンが設けられたコナンくん。
ストーリーは支離滅裂と言うか、結局話のメインは何だったのか。
大ヒットした割りにファンの間では酷評も多く、何となく訳が分かった。
100億円がパァになっても、大金かけて作った展覧会場が水没しても動じず。
鈴木財閥の超富豪っぷりがスゲェ…。