劇場公開日 2015年4月25日

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「守りたいから"突き放す"、突き放すゆえ膨らむ"想い"。作品自体が張り裂けるほど二人の気持ちを叫んでました。」劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE 未来篇 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5守りたいから"突き放す"、突き放すゆえ膨らむ"想い"。作品自体が張り裂けるほど二人の気持ちを叫んでました。

2016年9月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

新キャラクターの投入をせず(いることはいるんですが、外部でなくて身内ですし)、既存キャラで収めてしまったところは正直頂けませんが、完成度はその欠点を考慮しても高いです。恥ずかしいこと書きますが、アバン時点で泣きかけましたし。

TVシリーズも『過去編』もとにかく涙を流しました。中でも秋人君と別れてたった一人“境界の彼方”へ挑んでいく未来ちゃんと、それを知って制止も振り切り、彼女の元へ走る秋人君。そこで流れる茅原さんのOP曲『境界の彼方』。このコンボがTVアニメ版『ジョジョ』1期最終回級!!ボロボロ涙は流しましたし、胸が一気に熱くなったし、とにかく二人が幸せになってくれって祈りましたよ。

そんなどっぷり感情移入した矢先の『過去編』ラスト。一応ネタバレぶっこむので、見てない方にはすいませんが、秋人君と過ごした記憶を未来ちゃんは失います。TVシリーズは再会を果たせたところで終わりましたし、ハッピーエンドと思っていた先がまさかのバッドですよ…。もう感情乱高下でどんよりしながら帰りましたね(苦笑)

ここで本題の『未来編』です。今まで描いてきた話が“ジレンマに苦しみながらも、惹かれあってく二人”でしたが、『未来編』は“惹かれあうゆえすれ違ってく”物語です。なので映画の基本トーンは重く悲しく痛切です。しかもとにかく速いテンポで(僕的にはベッソンの『96時間』よりも速いよ)、バトルもドラマも進んでいきます。大体この手の悲恋ものって流れは速くない気がしますが、ここではもうとにかく速い。立ち止まってる暇ないくらい(並みのアクション映画よりもおそらく速いんじゃないかな)。

でも映画は一度たりとも悲恋をまったく外しません。それどころか速いテンポが一層悲恋を盛り上げます。その最たる理由はやはり未来ちゃんと秋人君です。お互い異形の側にあり、孤独が日常だった二人は痛ましいほど純粋で、傷だらけで打ちのめられても、誰を恨まず必死に生きて、ただ誰かに“愛されたくて”、“愛したい”を求めてます。それがさっそく『未来編』始めで激流ばりに来ますから、もう目が潤んでばっかで困ってしまいましたね。イイ子ですもん!この二人が!!

正直僕は京アニ作品で泣いたことはなかったです。『映画 けいおん』の“プレゼントシーン”は温かい気持ちになったし、『たまこラブストーリー』の“告白の返事”も良かったです。でも涙が込み上げたのは『境界の彼方』が最初でした。それは前述したように二人がとにかく必死だからです。

勿論他のキャラクターも魅力的で輝いてますが(主役二人以外だったら、シスコン兄貴が光ってましたね。必死に背伸びするところとか、衰えない変態ぶりとかw)、どうしても未来ちゃんと秋人君に行っちゃいますね!!初々しく手を繋いで、未来ちゃんの“好きです”台詞。あんなラストで〆ちゃうなんて、石立監督ズルいですわ(笑)

ファンとしては後日譚の続編やってほしいですが、ここまで綺麗な幕引きだと、叶うのは無理でしょうね。TVシリーズのBlu-rayを揃えても一度味わいますか!!

あ、でも出来ることなら、続編あると嬉しいです(笑)

平田 一