「ヤクザと風俗。」エイプリルフールズ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザと風俗。
最近の公開作はやたらと「○○製作スタッフが贈る~」なんて
謳ってるものが多く、そういう宣伝をしている作品に限って
あー他になかったんだろうなぁ^^;とついつい思ってしまう。
今作もリーガルハイの石川・古沢コンビ!と銘打っているから、
さぞかし期待して観に行ってエ?と思った人が多いみたいだ。
よくよく観ればいいセンスで描かれている部分もあるんだけど、
背景に流れる音楽のテンポがなんとか盛り上げている緊張感と
いう感じで、これがまたわざとなのか偶然なのかも分からない。
私的にはもっと奇をてらった構想でくると思っていたので、
老若男女問わず観られる普通の物語に纏まっているのに驚いた。
いかにもな役と意外な役とにくっきり分かれさせた豪華俳優陣、
彼らの演技を楽しむには十分だけど、後半でスッキリ収束されて
いく伏線以外、あまりパッとした展開がなくダラダラと長い。
が、一点だけ思い切った演出が面白く(苦情は多いらしいが)
ヤクザに誘拐された少女のエピソードで無理やり風俗店へ連れて
いき、実際の現場を見せて少女に辛い体験をさせるシーンがある。
このエグいシーンで、簡単に風俗で働けばいいなどと考えている
キャバクラ信仰世代に恐怖体験をさせるのが重要であると説く。
アホで乱暴なやり方だが、娘が間違った道に進まないことを願う
父親の愛情が見てとれる。それに対し娘はとある仕掛けを施して、
父親の窮地を救う。この絶妙な嘘から出た真の愛情のバランス。
全編をこの路線でグイグイ攻めて欲しかったけれど、そうなると
万人向けでなくなるので、みんなの1日を守って描いたのは正解。
(嘘つきといえばユースケが何かの黒幕かと期待しちゃったわよ)