オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のレビュー・感想・評価
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誠実さは身を滅ぼすか?身を助くるか?
最初から最後まで、映像が「車の中だけ」という映画がかつてあっただろうか。今にも出産しそうな浮気相手を慰め、自宅でサッカー観戦を約束していた子供に話を合わせ、思い切って妻に状況を暴露しその後の発狂に対応、明日の一世一代の大仕事を代わりに遂行する不安げな同僚へ指示をおこない、仕事の障害が見つかればその担当者と交渉をおこなう、、、、。主人公以外の登場人物は車のコンソールに表示される相手の名前と車中に響く電話の声しかなく、一切映像には映らない。でもまさに相手の状況がリアルに浮かび上がってくる。きっと髪振り乱して怒っているんだろうな、少しほろ酔いででも不安げにいるんだろうな、1階でママに見えないところから受話器握りしめてさびしく電話してるんだろうな、、など。
そもそもこの事態になった発端は主人公の「バカ正直なほどの誠実さ」。出張先で一夜だけ供にした女性の出産に立ち会うという気さえおこさなければこんなことにはならなかった。ただ、その一方で主人公のこれまでの誠実さが身を助けてもいる。代わりに大仕事をやろうとする同僚、市役所の担当官、急きょ依頼した作業員、等。これまでの彼の誠実な実績があったからこそ。
最後は、職も家族も家もなくした彼にたったひとつ希望が訪れたシーンで終わる、見事なクロージングである。
ファキ◯ジョーク!アイバン! GET OUTフーリガン!
『フ◯キンジョーク!アイバン!』
直属の上司だろうと思われるガレスさんを『ク◯野郎』と電話登録している。このク◯髭面男の方が、◯ソ野郎なのに。
ファキ◯ジョーク!と言っている。
·孤独な女性。
·行きずりの一回だけの間違い。
·取るに足らない43歳の女性。
·仕事が忙しくて気が付いたらそう言う関係になっていた。
·愛してなんかいない
·彼女は妊娠を黙っていた
以上を鑑みればコイツは段取りが出来ない人任せな愚図野郎だと思うし、完璧な女性蔑視者。『酒を飲むな』とか部下に言いながら、酒が引き金で、しかも43歳の高齢で孤独な女性の弱みに漬け込んで、NSでNNした訳でしょ。年齢から妊娠すると思わなかったからだよ。正に犯罪的な、確信犯。確信犯に騙されるな。と言いたい。
共感したのは全てフ♥キンジョークだぜ。こういった事を普通に考える演出家達、そう、英国のフーリガン達が怖くなる。
でも、それを全部計算していれば傑作だと思うが。そんなに奥深く感じなかった。
共感できない…
移動中の男の車の中だけでストーリーが進行していく、ワンシチュエーション形式の映画。トム・ハーディが演じるとあって、大いに期待して見たのですが、終わってみると徒労感だけが残る、なんとも後味の悪い一本でした。
舞台劇を映画にアダプテーションしたときにこの形式は多いのかなと思います。ストーリーを凝縮し、登場人物を最小限に絞り込み、少ない予算で制作できるメリットがあると思いますが、諸刃の剣。この映画のように、私小説で、起こる出来事が等身大で飛躍の少ない展開だと、観客は置いて行かれ、退屈な日常の描写にうんざりさせられることになります。
しかも、この男のとる行動が、個人的にはまったく共感できないことだらけなので、冒頭からイライラさせられっぱなし。あえてネタばらしするなら、最後までスッキリすることなく終わってしまいます。
以下、
・職場放棄をする
・その理由があまりにも身勝手すぎる
・それによってあまりにも多くの人に実害が及ぶ(おそらく一万人単位で)
・家族を優先するという価値観に共感できない
・その家族すら浮気相手の出産に立ち会うというトピックに勝てない
・男が浮気相手を愛していない
・とりまく人物の行動も理解に苦しむ(特に巨大建造物の生コン注入管理の職場に、飲酒癖のある人物が日常的に存在すること)
・観客にある期待を抱かせる(自動車事故)が、なにも起きない
・それでいて、奇跡のような事態の打開もない
・せめて、何かひとつでも希望を持てるような事が起きない(おそらく苦難の人生が待ち受けるであろう赤ちゃんの産声すら、電話の向こうにむなしく聞こえる。そう、立会い出産に、間に合わないのだ!!)
このような理由により、この映画、私は嫌いです。
2016.3.24
トム・ハーディの演技力!
登場人物がトム・ハーディしか出てこず、86分間ずっと車を運転してるだけなのに、人生が変わってしまうお話。
高速を運転しながら様々な人間と電話するこの演技はトム・ハーディにしかできないと思った。
見てよかった
アマプラ特典の期限ギリギリで見ましたが、見てよかった!
他に同じことを書いてる人がいなさそうなので書きますが、ハッピーエンドだと受け取りました。
最後、子どもがちゃんと生まれたと分かったときの主人公の表情もそうですが、息子が泣きながら「帰ってきて」と話すシーンは、「何だかよく分からないけどパパがママを悲しませている」ことまでは分かるけれど、ママから息子たちへ決定的なお知らせがない証拠だと感じたからです。
妻は、夫の行動を許しがたいと思いながらも、一度きりの過ちのせいで今本当に自分が三行半をつきつけて家庭をバラバラにしていいんだろうかと逡巡していたのでは。その意味で、ハッピーエンドとも言える明るい材料が意図的に残されていたので爽やかな気持ちでエンドロールを見ました。
主演俳優の一人劇。
邦題のサブタイトル「その夜、86分」というだけあって、実際86分の映画です。なので、ほぼリアルタイム感覚で話が進みます。夜に車内で見たら臨場感あるかも…笑
多少は他の人も出てくるのかと思いきや、完全に一人劇場でした。80分間オッサンの顔見てるだけ。なのに飽きさせないトム・ハーディの演技が素晴らしい。
飽きさせないと言っても、途中ちょっとした中弛みは感じました…が、予想では開始20分くらいで見るのをやめても仕方ないくらいダルい映画かと思っていたので…(^^;
DVD買うほどのもんじゃないとは思いますが、見て損はしない映画だったと思います。
アメリカ・イギリス合作の映画らしいですが、どちらかというとイギリス映画の雰囲気かなと。アメリカ映画代表みたいな派手さや盛り上がりは全然ないです。
内容は別に驚きがあるわけでもないし謎もないので、特別何の感想もなしって感じの話なんですが(ヨーロッパの方は何の盛り上がりもないけど日常切り取ってみたような映画多い気がしますが)、80分も車内でオッサンの顔見てるだけなのに殆ど飽きさせないスピード感の緩急と、最初と最後に流れる印象的な音楽、主演は勿論、声だけの俳優陣も演技が素晴らしかったのでこの評価です。
あらすじ:
主人公のアイヴァンは、妻と2人の息子を持つ建築現場監督。家族仲も良く、仕事でも評価されていた。しかし、ロンドンへ出張へ行った際、現地の秘書ベッサンと不倫してしまう。40代も後半の孤独なベッサンに同情し、自分も出張中で寂しかったのもあり、どうせだから相手をしてやろうと思いあがって一晩ベッドを共にしたことにより、ベッサンは子供を授かってしまう。出産予定日の2か月前、翌日に大事な仕事を控えたある日、ベッサンから破水したとの連絡が入り、慌てたアイヴァンは、大事な仕事も家族との約束も放り出し「ベッサンの件の責任は自分にある」とベッサンの入院するロンドンの産婦人科に向かうが…
以下ネタバレ
あらすじを読んで何となくわかったかとは思いますが、まぁ結局は自業自得のストーリー。
レビューを読んでいると結構「不倫はしたけどアイヴァンは真面目な人」とか、自分のしたことの責任をきちんと取ろうとしている、みたいな解釈がチラホラあるのですが、本当にそうなのかな?と。各々の解釈なのでケチをつけるわけではないんですが…
劇中でアイヴァンは、頻繁に自分のロクデナシ親父に向かって話しかけます。もちろんこれはアイヴァンの妄想というか、自分の失態にクズ父親の面影を見ているだけなのですが、その内容が「俺はあのロクデナシとは違う」「責任を取らないことで父親と同じと思いたくない」というようなことばかりなんですよね。
純粋に「家族を大切にするべきだったのに、やってしまった…どうしても家族とやり直したい、許してほしい」という感じではなく、台詞の端々に「責任取ってやったぞ、これであのロクデナシと俺が同類とは言わせないぞ」という感じで、まあ元々不倫する人ってそんなもんなんでしょうけど、妻に対する話し方も、どうも悪い事した、傷つけて申し訳ないって感じじゃない。実際謝ってもいなかったような。「こんなことがあって、こういう理由で不倫しちゃったんだけど、まあ1回だけだし問題ないよね?これからどうする?」みたいな態度。
基本的に思い上がりが凄くて、原題のロックというのがアイヴァンの苗字なんですが、「俺一人の力でロックの名を立て直してやった」みたいなことを言ってたりします。すんごい自信。身近にいたらめちゃくちゃ嫌われてそうなタイプ。
劇中、アイヴァンの元へは仕事仲間、上司、不倫相手、産婦人科医、妻、子供などなど、色んな人から電話がかかってくるのですが、殆ど自分本位で、何故か局面を動かすのは自分だと思い込んでる。
あらすじに「仕事放り出して」と書きましたが、実際には、本部にアイヴァンのクビを取り消してもらうよう必死に頼み込んでくれた上司に向かって「不倫相手の出産に立ち会うから現場には行かないが、代理の監督には任せない、電話で自分が同僚に指示するから邪魔すんな」。もうクビになっているにも関わらずです。まぁこの上司の名前、電話の登録名が「クソ野郎」になっているので、元々嫌いなんでしょうけど(^^;
そして同僚には「俺が全部指示するから、俺の言う事だけ聞いてれば良い。上司の電話には出るな」。
「私のこと愛してる?」と訊いてきた不倫相手のベッサンに対しては「今車飛ばしてそっちに向かってる、同情で抱いただけだからお前なんか知らない人間同然だし全然愛してないけど、一応子供できちゃったから責任とって認知はする」。
不倫したこと・不倫相手に子供ができたこと・その出産に立ち会うために家族との約束をすっぽかしたことを突然聞かされ動揺している妻に対しては「こういう経緯で不倫したけど、相手の女のことよく知らないし愛してないし、愛してるのはお前だけだから。出産の立ち合い終わったら帰るから、今まで通りそっちで暮らすわ。不倫相手の女?出産?そんなことより俺たちの今後の話しようぜ(当然許してくれるよな?)。」
要するに、アイヴァンは自分のやらかしたことに対して反省した結果、責任を取ろうとしているのではなく、「自分はロクデナシの親父とは違うと思いたい」からリカバーしようと必死なのです。ここまでやればクズの父親と同類にはされないだろ、これで俺は仕事でも、夫としても、親としても親父より立派だろ、と思いたいだけの自己満足なのです。
最後に残るのは、同情で「抱いてやった」不倫相手と、過ちでできてしまった赤ん坊。最後これで流産とかだったら嫌なラストだな…と変にドキドキしましたが、一応出産は無事終わり、希望のあるラスト…なのかなぁ?
結局のところ、不倫相手は「誰でも良いから傍にいて欲しい」という気持ちでしかないんでしょうから、結婚してもうまくはいかないでしょう。子供も、愛情なく責任だけで一緒にいられるってどんな感じでしょうか。「ロックの名を継ぐこと」は、この子にとって本当に恥ではないのでしょうか?
捨てる神あれば拾う神ありで、辛うじて息子はアイヴァンのことを嫌ってはいませんが…
しかし妻との電話は酷いもんでした。
「1回の過ちだ」と何度も繰り返すアイヴァンに、妻は「その1回で全てが変わる」と返します。この一言、この映画の中でかなり痛烈です。実際、その1回の不倫のせいで仕事もクビになり家族も失ったわけですから、象徴的な一言といっても良いでしょう。
そして、よくよく妻の話を聞いていると、どうやら上手くやっていたと思っていたのはアイヴァンだけで、妻は前から寂しい思いや不満を抱えていたんですね。なのに、アイヴァンは「出張先で寂しかったから浮気しちゃった~1回だけだけど」「相手は誰にも相手にされない可哀想な女だから仕方なかったんだよ~よく知らねーけど」。
妻が許せなかったのは、不倫自体よりも、夫が真面目に働いているからそれを支えようと辛くても黙って耐えてきたのに、それを当然と思ってあまつさえ裏切りやがった、しかも謝罪もなく事情と言い訳ばかりで、許してもらえると思ってやがるぞこいつ!ってところなのでは。
「朝には機嫌も直ってるだろう…そう思おう」とアイヴァンは希望的観測をしますが、そもそも不倫した、不倫相手が出産しますと突然言われて動揺して「何でそんなことを!?信じられない!」ってなってる相手に「そんなことより今後のこと話し合おう」って、一体…
相手の気持ちを考えず「そんなこと」で済ませて、自分のペースで話を進めようとするし、「今後」があると思ってる時点で反省してないな、こやつ。と思ってしまいました。
色んな人との電話の中で、相手の様々な感情を随所に感じられるわけなんですが、特にラストの息子との電話が本当に悲しくて…
いや、息子…エディお前…
ちなみに息子エディ役は最近話題のトム・ホランド君です。声だけですが。
長々語りましたが、映画としてはよくできていたと思います。が、如何せん主人公がウワーな台詞連発で、もう見てらんない…と思うシーンは何度もあります。
あと、いくらトム・ハーディがすげー俳優だとしても、流石に1人で86分は長かった。電話が至る所からガンガンかかってきて、後半はもう、誰かと喋ってる最中にも「電話きたよ!」と通知が入ってイライラする!って描写があるくらい賑わっているのですが、電話が鳴らない時はちょっと中弛みします。父親の幻影と喋ってる時とか特に。でもあれが一番大事な内容なんですよね。
妻とは離婚でしょうから、最終的にアイヴァンの姓「ロック」を名乗ることになるのは、(結婚するとすれば)不倫相手の子供だけになるということなのかな。
だとすると、「俺一人でロックの名を立て直した」と本人は言っていたけど、結局ロクデナシのロック家は続いていくことになりそう。
仕事以外、完全に思考停止状態で何となく生きてきたのが、追い詰められて初めて自分で何かを決めなきゃいけなくなってアタフタしてるような感じで、多分こうやってボカして表現すると、同じような生き方をしてる人ってかなり多いんじゃないかと思います。
思考停止状態の人に「何で?」と質問すると、結構な確率で嫌な顔されますよね。別に失礼な事訊いたわけじゃないのに。
下らない質問ならそれでも良いでしょうが、取り返しのつかない過ちかどうかは、事前によく考えてから行動に移さないとこうなるよっていうわかりやすいお話でもありました。
1つ不思議だったのが、何で主人公あんな酷い風邪っぴきだったのか…トム・ハーディがたまたま風邪ひいてたからそのまま…とかではないよね、流石に。劇中ずっと鼻かんだり薬飲んだり(?)してるんですが、何の意味があったのかは不明。これもしかして途中で風邪酷くなって頭が朦朧として事故るENDなんじゃ…と途中から別の意味でハラハラしてました。
とにかくラストの息子の演技(声のみ)だけでも聴く価値あるなぁとか思ってしまった自分は別にトム・ホランドのファンではないです。
ハマる人にはハマる作品
数々の賞を受賞しているようで、TSUTAYAで気になってYUKIと。
主演…(というか、登場人物はひとりしかいないのだけれど)…はマッドマックスで主役をした有名なトム・ハーディという方。
題名の通り、高速に乗っている間だけで彼の人生が転落していくお話し。
私の読解力ではよく分からない部分もあり、監督、製作者のお話しを見終わった後に見ると…いろんなことが見えてきて納得。
ハマる人にはハマる作品。
私の中では(規模は全然違うし、むしろ逆パターンだけど)「LIFE!」と同類の作品かと。
86分だからギリギリ見られた。 これ以上長かったらキツかったかな〜...
86分だからギリギリ見られた。
これ以上長かったらキツかったかな〜〜。
でも概ね面白かった。
シーンはどこも同じ高速道路を走る車の中の1人の男。
でも電話だけで、彼の人生や性格、家族、仕事での立場とか色々見えてくるのは面白かった。
家庭も持ってないし、不倫相手を妊娠させたこともないし、むしろ女だけど
主人公のアイヴァンの行動に、自分がアイヴァンでもこうなるなという共感性がやばかった
基本的には真面目なんだけど、危機が訪れた時に
気付かず相手を追い詰めちゃう感じ
とくに同僚?仕事を押し付けた相手には、押し付けたからこそ最後まで責任を持とうとするんだけど、まぁ結局は押し付けたことにはかわりなくて
根回しとか頑張ってたけどね
押し付けた相手が頼りのない人間だからその一挙一動に少しずつイライラしてしまう
わかるわー
でも一番悪いのは自分
妻に話すという大事なことを後回しにしてしまったために
たった一夜で全てを失ってしまう
どうにかしようと電話をかけまくるんだけど
やっぱ電話じゃどうにもならないものってあるし
何かを頼むにしても、こっちができることは限られてるわけだから(車の中、それも高速道路を走行中)煮え切らないことが多くて
でもどうにかしようと すればするほど、裏目に出たり
奥さんはいきなり伝えられたのに
とくには謝りもせず、事実だけを並べ立てて今後の話をしよう
そりゃ奥さん納得しないよね
でも主人公の気持ちもわかる
どうにかしたいという気持ちが先走って
自分は前から知ってるから色々と気持ちの整理はつけられてるけど、奥さんはつけられてないんだよねぇ
息子の空気を読んでか読まなくてかのサッカーの話にはちょっとぐっときたよ
アイヴァンが全てを失って、息子と電話した時にほろっと泣いたのもぐっときた
とりあえずトムホランドくん目当てで見たけど
なかなか面白かった!
人生の脆さと孤独
温和な家庭もあり、仕事も成功している真面目な男が、たった一度の過ちを正そうと、ある目的地へと向かうお話。
多分最初から高速道路に乗るつもりでしょうが、左折するつもりが急遽右折するシーンは、一つの選択により、積み上げてきたこれまでの実績が、土台のミスで崩れうる高層ビルに喩えられているようでした。
高速でも制限速度内の安全運転中、上司、仕事仲間、妻、息子、浮気相手と、ひたすら電話しまくる映画です。Hardyの演技がこんなに上手いと思いませんでした。主人公しかスクリーンには登場しないので、観客も主人公同様、電話越しの相手の声のトーンなどから、状況を想像することになります。憎い父親の亡霊?に対する独り言の暴言は、彼が何故この選択肢を選んだのかというヒントのようです。しかも風邪かアレルギー??疲労と栄養ドリンク?の影響で眠くて目もかすれるのか、ハイウェイの明かりやテールランプがぼんやりするのでヒヤッとします。
一人の女性の孤独に同情した彼自身の人生もまた孤独になってしまいそうです。仕事のトラブル処理のように、他人の感情まで思い通りに変えることは出来ません。
家庭に仕事にと、挟まれて息苦しい男性は共感するのかも知れません。
出発地と到着地は遠く離れて…人生は高速道路…でもTom Cochraneなどの"Life Is a Highway♫"という歌のような明るさは全くありませんでした。
好みの分かれる映画
この映画は、普段あまり映画を観ない人にはハマらない作品かなと思います。どちらかというと大衆向けではないし、ワンシチュエーションムービーというクセのある映画ですので。そういう点に惹かれて観てみましたが、結構面白いと感じました。「86分間高速道路を走るだけの映画」なのですが、3つの相手と交互に会話劇が繰り広げられるので、そんなに飽きません。車中では電話で話しているため相手の顔が見えませんが、感情を露わにするシーンでは、そこが逆に良い緊張感を生み出していると思います。また、電話での間の取り方も好きでした。ただ、話にもうちょっと良いオチをつけてもいいのではと感じましたが。
大人の男性にオススメ
不倫の話なのでカップル、夫婦にはオススメできませんが笑
時間に追われて仕事をさばく感じは大人の男性には共感できるのではないでしょうか。やらなきゃいけないこといっぱいあって、それでもテンパらずに(たまに声は荒げてましたが)しっかりと解決しようとする姿はカッコよかったですね。
描写は車しかないので、他の登場人物に関する部分は全てみなさんの妄想になります。なので人によって見え方全然違うんじゃないですかね。
不倫相手の女性には結局会わずに帰ったの…?
ライク ア ホース
アイヴァンは建設現場の基礎コンクリートにおける現場監督を任されており、約10年に渡って築き上げた実績は彼の信頼を揺るぎ難いものにしていた。
ヨーロッパ史上最大級の高層ビルを支える基礎工事の現場監督もそういった実績が実ってのものだ。
一方家庭では愛しい妻と二人の息子に囲まれ、その夜もサッカーの試合を家族一緒に見る約束となっていた。
しかし、何かが起きた。
アイヴァンはある決意を持って現場を後にし、BMWに乗り込む。
彼の向かう先は、事務所でもなく、コンクリートの製造会社でもなく、家族の居る家庭でもない。
彼は全てを捨てるつもりでロンドンのある病院へと向かっていったのだった。
アイヴァンは何を求めていたのか。
今現在の生活を全て捨ててまで乗り越えなければ、向かい合わなければ、正さなければならなかったものとは何だったのか。
彼はロンドンへの道すがら3つの事態に向き合うことになる。
出産間近の浮気相手。
明朝開始される基礎工事の準備。
浮気をしていた事を知らされた妻と、その雰囲気を察した息子。
相手の顔も見る事ができない状態で、アイヴァンは携帯電話一つを頼りに彼らと一つ一つ丁寧に、完璧に向かい合っていった。
彼にはどうしても負けたくない相手、否定しなければならない相手、全てを捨てて訣別をしなければならない存在が居た。
父親だ。
彼は父親の不誠実さ、現実逃避、「Locke」という名を汚したことを許せなかった。
その存在を完全否定すべく彼は遠くロンドンまで車を走らせたのだった。
終盤、息子のエディが今夜のサッカーの話をする。
普段はどうしようもない選手が今夜ゴールを決めたそうだ。
足元にボールをトラップし、ドリブルで敵ディフェンスをくぐり抜け、味方にパスをすることもなく、前に出てきたキーパーにも動じずゴールを決めた。
まるで馬のようだったと。
それと同じような男が居た。
数々のトラブルに一人で対応し、家族や同僚の言葉も聞かず、遂にはロンドンに辿り着いた。まるで馬のように。
勝負に勝って、試合に負けるという言葉がある。
彼はその逆だ。
一つ一つの事態は収束させたが、家族、仕事、家全てを失った。
父親との試合には勝ったが、人生の勝負に負けたのだ。
複雑
トム・ハーディーが好きなので、彼の演技が素晴らしいという情報を得て鑑賞。
演技に引き込まれるというよりか、実際に起こっている出来事の瞬間を垣間見たような感覚になれた。
内容としては仕事私生活含め、数人との電話のやりとりがただ続くだけで大して面白くはないのだけど、なぜか夢中になれた。
トムかっこええ。
絵は退屈かも、でも本は抜群
同じようなシーンが続き、車外の風景もあまり変わらない。主演俳優1人が出演し、あとは声だけ。
彼は仕事、家庭をなげうって車で向かう。
でも、仕事は自分の誇りにかけて成功させようとしている。それは自分の仕事に対する責任だから。お金ではない。
彼は一つの命に対して、仕事と同じ責任を持っている。そのために車を走らせている。
その命には何の責任もないが、彼の家庭はその命の存在で無茶苦茶になってしまった。
その命は、実は彼自身の命でもある。
そして彼の行動は、彼自身の命に対して彼の父親がとった行動に対するリベンジでもある。
これが彼の人生を支える骨組みなのだ。
一見、闇雲に見える彼の行動は、だんだん話が展開していく内に説得力を持ってくる。
この説得力が主人公を動かし、電話で繋がった人も動かしている。
その後の彼の人生は描かれていないが、どう考えるのかは、鑑賞者への宿題のようだ。
感情もつれまくり
たったひとりのたった一度の過ちが、同僚、上司、妻、息子、その他もろもろ沢山の人間の一晩を変える。
なかなか壮大にもつれまくるのだが、それを流れゆく街灯とテールランプの灯りそしてトム・ハーディと電話の相手の声、これだけの要素がこのドラマをつくりあげる。
電話が鳴る度、今度は何だとこっちまで戦慄。気分はすっかり同乗者。
何があったか詳しくは語られないが、父親に対して妙に反面教師的な感情を持つ彼は、あくまでも冷静に、このしっちゃかめっちゃかな状況に対処しようとする。時々爆発する感情。さすがトム・ハーディ、見事にぐちゃぐちゃな心境を巧みに演じる。
己の過ちにケジメをつけると決めた男は、妻に別れを告げられようと、長く貢献してきた仕事を辞めることになろうと、まるでこの走り続ける車と同じようにまっしぐら。
不器用で馬鹿正直な彼はこの後、生まれたばかりの赤ん坊を見て、どういう気持ちで朝を迎えたのだろう?
90分本当にトム・ハーディしか出ないけど、彼の大ファンじゃなくとも観るに値すると、個人的には思います。
「時間と距離の葛藤」
わずか数時間の中で男のあらゆる責任、優しさ、エゴもエロもコンプレックスも濃縮した男の修羅場。場所だけが移りながら、一人対多数のモノローグ。父親の幻影が映るはずのないバックミラーに浮かぶ。見なきゃよかった。あまりにも凄い。86分。
面白いんだけど…
面白いんだけど、イマイチノリ切れない…
トム・ハーディーの芝居は、マッドマックスから一変して良く喋るし説得力もある。
決断の背景も上手く工夫して見せている。
でもねぇ…「上手く工夫したな」って思わせちゃダメじゃん…
あとさぁ、ネタバレするけど…
アレで終わり…?
もうちょっと希望とかさ…?
余韻は残る
興味深いし、単調な画面でも好奇心は継続する。
自己の出世と苦学からの深い記憶が、ああいう決断をさせるのは、分かる気がする。
この意識がない人は、物語の中核に共感を覚えないだけに、退屈な90分間になるだろう。
自業自得
自分が出来る人間だと勘違いしている主人公がもがく話し。
着信のタイミングや電話に出るまでの間が悪いし何だそれと言う様な中途半端な結末。
ただの自問自答にしておけば良いのに幻視と話しをするのが又話しをチープにさせている様に感じる。
シチュエーションは悪くないけど、それだけ。
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