「現実味があり考えさせられる映画」アリスのままで MovieFanF15さんの映画レビュー(感想・評価)
現実味があり考えさせられる映画
若年性アルツハイマーで記憶力を失う言語学者と家族の
生活を描写する映画は、ちょっと暗い話しで、どうかと
思いましたが、みたら、配役がよく、登場人物達や生活風景が
めぐまれた家族のもので、眼にやさしく予想外に良い映画でした。
「セッション」よりよかったと思います。余韻が残ります。
いわゆる典型的なハリウッド映画でなく、アクションや悪者との
相克がでなく、痴呆症さえ発病しなかったら、恵まれた
女性として最高の人生をおくってコロンビア大学教授女性の
変貌と家族とのやりとりを、きれいな海やNew Yorkの
町並みの景色を背景にうつしています。
学者としての地位、やさしくイケメンで優秀な医者の夫、
3人のすばらしい子供達、広い住居と別荘と、女性として
すべてを手にいれたアリス。彼女が、勝ち取った知識と語彙の
豊富さを記憶の消失とともに失い、尊厳を失っていく話は、
誰にでも、老いたら起こりうる事として、自分や家族がそうなった
ら、どうしたらよいのか、考えさせられました。
私自身、両親が老いとともに体力と知力を段階的に失い、記憶も
弱くなってきて、このごろは、前の日のことも忘れるので、訪問する時に、用意してあげた食事の日付と内容のメモをつけて冷蔵庫にいれ、かつテーブルにメモをかいてあげるこの頃なので。人は無力の赤子から、自立した大人になり、老いとともに、体力と記憶力が退化して、赤子のように人の世話が必要になるのでしょうか。その時に献身的な家族がいたら、より幸せな老後だといえましょう。アリスの様に、メモを沢山用意したり、将来の自分へのメッセージを残すのを老前準備に入れるのもよいかも知れません。